神戸大、細胞運動の一端を解明 、がん治療に光

2015年5月6日 11:42

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細胞全体に分布していたFBP17-アクチン複合体(写真中の白い点)が、張力の上昇を受け時間の経過とともに運動先端に集まり、細胞の運動方向を決定する(神戸大の発表資料より)

細胞全体に分布していたFBP17-アクチン複合体(写真中の白い点)が、張力の上昇を受け時間の経過とともに運動先端に集まり、細胞の運動方向を決定する(神戸大の発表資料より)[写真拡大]

 神戸大学自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センターは、細胞運動が「膜張力」により制御されることを世界で初めて解明した。感染対策や悪性腫瘍に対する新たな治療法の開発などへの応用が期待される。

 神戸大の伊藤俊樹教授、辻田和也助教らの研究グループは、がんの培養細胞を用いた実験を行い、細胞の運動には細胞膜にかかる「張力」が関係していることを発見した。さらに、「細胞膜を曲げる」という特徴的な性質がすでに明らかになっていたタンパク質「FBP17」が張力を感知し、細胞の運動方向に影響を与えるセンサーの役割を果たす分子であることを、世界で初めて解明した。

 伊藤教授は、「これまであまり注目されていない視点から研究を行い、がん治療へのアプローチを増やしたい」と話す。この研究成果を示した論文は、5月5日に英科学誌「Nature Cell Biology」にオンライン掲載された。(記事:町田光・記事一覧を見る

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