東大、大人の脳神経細胞が作られる仕組みを明らかに

2015年4月1日 14:57

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今回の研究で成体神経幹細胞を作りだす元となる細胞(胎生期における起源細胞)が明らかになった(写真:東京大学の発表資料より)

今回の研究で成体神経幹細胞を作りだす元となる細胞(胎生期における起源細胞)が明らかになった(写真:東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の後藤由季子教授・古館昌平助教らによる研究グループは、成体神経幹細胞を作りだす特別な幹細胞(起源細胞)が胎生期の大脳に存在することを発見した。

 哺乳類の脳の細胞は大人になってからは二度と再生しないと長年考えられてきたが、近年、脳の海馬と脳室下帯の少なくとも二つの領域には成体神経幹細胞が存在し、生涯にわたって神経細胞を新生し続けていることが明らかになっている。

 今回の研究では、胎生期の神経幹細胞の一部に分裂頻度を低く保った特別な神経幹細胞(起源細胞)群が存在し、その細胞群が成体神経幹細胞になることを発見した。成体神経幹細胞の起源細胞とそれ以外の通常の胎生期の幹細胞をFACSと呼ばれる細胞の単離方法によって単離し、遺伝子発現パターンを比較したところ、起源細胞ではp57タンパク質の発現が高いことを突き止めた。

 今後は、本研究で得られた知見を応用することで、神経幹細胞を用いた神経変性疾患や精神疾患、脳の損傷などの治療法の開発が加速すると期待されている。

 なお、この内容は3月30日に「Nature Neuroscience」オンライン版に掲載された。

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