東大など、宇宙の遠赤外線画像データをインターネット公開

2015年1月16日 13:16

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「あかり」の観測した全天の遠赤外線画像。青:90マイクロメートル、赤:140マイクロメートルの2色合成で示す。中央に水平に伸びるのが天の川。銀河系の中心領域を画像の中心にした360°の範囲を示す。Sの字状に薄く見えるのは、太陽系内の塵による光(東京大学などの発表資料より)

「あかり」の観測した全天の遠赤外線画像。青:90マイクロメートル、赤:140マイクロメートルの2色合成で示す。中央に水平に伸びるのが天の川。銀河系の中心領域を画像の中心にした360°の範囲を示す。Sの字状に薄く見えるのは、太陽系内の塵による光(東京大学などの発表資料より)[写真拡大]

  • 「あかり」は4つの波長で遠赤外線の全天画像を作成した。図の上から順に65マイクロメートル、90マイクロメートル、140マイクロメートル、160マイクロメートルの各全天画像を示す。中央に水平に伸びる天の川が各画像で明るく見える。一方、波長の長い画像は、より低温の星間物質の分布を示し、このような物質は天の川から上下方向により広がっていることが分かる。この差は90マイクロメートルと140マイクロメートルの2波長の画像の間で特に顕著である。100マイクロメートルより短波長の2画像がこれまで「IRAS」により観測されていた遠赤外線の描像、一方100マイクロメートルより長波長の2画像が「あかり」が新しく描き出した遠赤外線の全天の詳細な分布である(東京大学などの発表資料より)
  • 「あかり」の観測した天の川の拡大図。青:65マイクロメートル、緑:90マイクロメートル、赤:140マイクロメートルの3色合成で示す。ここに示されているのは南天の
りゅうこつ座付近の天の川(東京大学などの発表資料より)

 東京大学の土井靖生助教、筑波大学の田中昌宏研究員、東北大学の服部誠准教授らによる研究グループは、赤外線天文衛星「あかり」のデータから全天の遠赤外線画像データを作成し、インターネットを通じて公開した。

 宇宙の観測には様々な波長の電磁波が使われており、遠赤外線は星間物質、特に温度が-200度以下の低温のダスト分布を知ることで、星が生まれる様子を調べることができる。さらに、ビッグバンから現在に至る宇宙の歴史を調べる上でも、遠赤外線の測定は欠かすことができない。

 土井助教らは赤外線天文衛星「あかり」によって取得された全天のデータを、他の研究者がすぐに使用できるよう較正した状態で画像データにして、JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙科学研究所からインターネット公開した。

 赤外線天文衛星「あかり」は2006年に打ち上げられ、1年4ヶ月に渡って高解像度のデータを取得している。これまでは、遠赤外線の全天画像としてIRAS(Infrared Astronomical Satellite)のデータが使用されてきたが、今回公開したデータは解像度が4~5倍に向上している。

 今後は、公開データが星・惑星形成以外の分野でも活用され、天文学の幅広い研究で活用されると期待されている。

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