テラ、開発ワクチンの局所再発胃がんに対する有効症例を英国学術誌に発表

2015年1月15日 14:39

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 テラは先ごろ、同社が提供する樹状細胞ワクチン「バクセル」(※1)の度局所再発胃がんに対する症例報告が、英国の腫瘍外科専門学術誌である「World Journal of Surgical Oncology」(2014年第12巻390項)に掲載されたと発表した。

 今回の症例報告は、医療法人社団医創会 セレンクリニック名古屋における、胃がん手術後再発症例に関するもの。この症例は、高度な肺気腫により根治手術ができず、また、内視鏡的粘膜切除術も印環細胞がんであるために当時の基準で適応外と判断された症例。

 抗がん剤は副作用により継続ができなかったために、WT1ペプチド等を用いた樹状細胞ワクチン「バクセル」の腫瘍内局所投与が行われた。

 同ワクチンの内視鏡を用いた投与が計7回行われ、最終投与から1ヶ月後に腫瘍は縮小し、組織生検の結果ではがん細胞の消失が確認され、その後、寛解状態(※2)が30ヶ月間続いたという。

 今回の報告は、肺疾患のため手術ができない再発胃がん患者に対して、樹状細胞ワクチン療法の腫瘍内局所投与が著効した初めての症例報告になるという。

(※1)樹状細胞ワクチン「バクセル」
 本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法。現在、がん治療用の再生医療等製品として薬事承認取得を目指している。

(※2)寛解:その治療によって、がんが完全に消失すること。
(記事:町田光・記事一覧を見る

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