【中国の視点】ロシア:欧米制裁に「焦り」、中国向けガス輸出契約の獲得に必死

2014年5月20日 08:07

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記事提供元:フィスコ


*08:08JST 【中国の視点】ロシア:欧米制裁に「焦り」、中国向けガス輸出契約の獲得に必死
ロシアのプーチン大統領は20日から2日間にわたって中国を訪問する予定だ。大統領は上海市で中国の習近平国家主席と会う予定で、東シナ海で予定される中露海軍の合同演習に出席する見通し。また、10年以上にわたって交渉が続けられてきた中国向けの天然ガス供給プロジェクトも合意されると予測されている。

ロシアエネルギー省のAnatoly Yanovsky次官はこのほど、天然ガス最大手ガスプロムがすでに契約書の作成を進めていると発言し、大統領の訪中期間内に合意される可能性が高いとの見方を示した。

ロシア側が契約締結に積極的な姿勢を示している理由について、ウクライナ問題で欧米などの対露制裁強化が背景にあると分析された。ガスプロムの売上高のうち、80%が欧州への輸出に依存しているためだ。

一方、過去10年の間に中国はすでにトルクメニスタンなどから大量の天然ガスを輸入していた。中国とトルクメニスタンは昨年、2020年までに年間の輸入量をこれまでの200億立方メートルから650億立方メートルに引き上げることで合意した。

中国メディアは、プーチン大統領の訪中について、ウクライナ問題で中国からの支援を得る可能性が低いとの見方を示した。一方、天然ガスの輸出量の急速減少を防ぐため、ロシアが価格面で譲歩し、契約の締結を優先させる可能性があると予測した。大半の財政収入が資源輸出に依存するロシアにとって一定の輸出量を維持することが不可欠だと分析された。

なお、ガスプロムは10数年前、中国向けに年380億立方メートルの天然ガス輸出プロジェクトを立ち上げたが、双方が価格面で折り合わなかったため、合意に至らなかった。ロシアが価格面で譲歩すれば、最長30年の契約を獲得できると見込まれている。《ZN》

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