【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールテック・ウエノは好業績を見直して反発のタイミング

2014年3月6日 10:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ <4573> (JQS)の株価は、全般地合い悪化の影響も受けて軟調展開だが、調整のほぼ最終局面だろう。好業績を見直して反発のタイミングが接近しているようだ。

  緑内障・高眼圧症治療レスキュラ点眼薬の製造販売、および米スキャンポ社の便秘症治療薬AMITIZA(アミティーザ)カプセル受託製造を主力としている。米スキャンポ社は、AMITIZAカプセルの日本と欧州での販売承認取得や米国での追加新薬承認取得、レスキュラ点眼薬の米国上市など販売地域や適応の拡大戦略を推進している。

  新薬開発は網膜色素変性、ドライアイ、アトピー性皮膚炎関連を中心に進めている。重症ドライアイに対する遺伝子組み換え人血清アルブミン(開発コードRU-101)点眼液は、13年4月に新薬臨床試験開始申請が米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた。13年10月には網膜色素変性に対するウノプロストン(UF-021)点眼液の第3相臨床試験症例登録が完了した。そして13年11月には、RU-101点眼液の第1相/第2相臨床試験のステージ1を完了してステージ2の症例登録を開始している。

  なお3月3日には、慶應義塾大学医学部が開発した移植片対宿主病(GVHD)マウスモデルを用いて、GVHDに対する予防法および治療法の探索に関する共同研究を実施すると発表した。GVHDとは、ドナー(臓器提供者)の臓器が免疫応答によって、レシピエント(患者)の臓器を攻撃することによって起こる症状の総称で、特に白血病や再生不良貧血の治療法としての造血幹細胞移植後や輸血後に合併することが知られている。慢性GVHDでは高率にドライアイが発症するため、このマウスを用いて新たな治療法を開発したいとしている。

  2月12日発表の今期(14年3月期)第3四半期累計(4月~12月)業績(非連結)は前年同期比38.7%増収、同2.3倍営業増益、同2.2倍経常増益、同2.3倍最終増益だった。レスキュラ点眼薬、AMITIZAカプセルとも好調に推移した。増収効果で大幅増益となった。

  事業部門別売上高を見るとレスキュラ点眼薬は日本市場が同12.8%増の10億42百万円、北米市場が1億01百万円(前年同期は実績なし)だった。AMITIZAカプセルは北米市場が同29.4%増の23億53百万円、日本市場が同3.3倍増の5億84百万円だった。医薬品開発支援サービスは同10.6%増の1億31百万円だった。

  通期見通しは前回予想(7月16日に増額修正)を据え置いて売上高が前期比16.6%増の53億08百万円、営業利益が同63.8%増の12億85百万円、経常利益が同47.7%増の13億15百万円、純利益が同52.2%増の8億55百万円としている。レスキュラ点眼薬は薬価改定の影響一巡や北米市場での再上市、AMITIZAカプセルは北米向け販売好調や価格改定効果、さらに日本での承認取得などで好調に推移する。第3四半期累計の進捗率は売上高が79.4%、営業利益が84.2%、経常利益が88.1%、純利益が95.1%と高水準であり、通期再増額の可能性が高いだろう。

  なお配当予想については2月12日に増額修正を発表した。前回予想の年間20円(期末一括)に5円増額して年間25円(期末一括)とした。前期との比較では13年7月1日付の株式200分割を考慮して実質的に10円の増配となる。

  株価の動きを見ると、全般地合い悪化の影響も受けて上値切り下げの軟調展開が続いている。急落して付けた2月4日の安値1102円から急反発して、2月13日には第3四半期累計業績や配当増額修正も好感して1549円まで戻す場面があったが、その後は反落して3月4日には1202円まで水準を切り下げた。ただし2月4日の安値まで下押す動きは見られず、調整のほぼ最終局面のようだ。

  3月5日の終値1285円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS44円32銭で算出)は29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.0%近辺、実績PBR(前期実績に株式200分割を考慮したBPS423円33銭で算出)は3.0倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、好業績に見直し余地があり反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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