インド地方選で野党勢力が大躍進、来年の総選挙でモディ首相に現実味

2013年12月9日 09:51

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記事提供元:フィスコ


*09:51JST インド地方選で野党勢力が大躍進、来年の総選挙でモディ首相に現実味
中央政府の最大野党・インド人民党(BJP)が地方選挙で大躍進を果たした。8日公表された開票結果によると、BJPは首都デリーを含め、ラジャスターン、マドヤ・プラデシュ(MP)、チャティスガラの各州で勝利。MPとチャティスガラでは政権を維持し、ラジャスターン州では国民会議派から政権を奪取した格好だ。

ラジャスターンでは200議席中BJPが162議席を獲得し、会議派の21議席を圧倒したと伝わっている。また、デリーでは反腐敗を掲げる新勢力AAP(Aam Aadmi Party:一般市民政党)が躍進。全70議席中でBJPが31議席、AAPが27議席を獲得し、会議派は8議席にとどまった。以前の議席数は会議派が43議席、BJPが23議席で、会議派が15年ぶりにほぼ“壊滅状態”になった形。

なお、BJPが勝利した3州・直轄市の合計有権者数は約1億8000万人に上り、2014年5月までに実施される総選挙でBJPの躍進が鮮明に裏付けられたことになる。有権者は現与党である会議派政権に嫌気が差しており、特に腐敗やインフレ、女性への暴力などに明確に“NO!”を突きつけた。

とはいえ、BJPの勝利はあくまで会議派の後退が追い風になったもので、ヒンズー教至上主義であるBJPの政策そのものに有権者の票が集まったとは言い難い。次期首相候補とされるBJPのモディ氏はグジャラート州の高度経済成長をけん引した実績があり、市場にとってはBJPの勝利は力強い材料になりえる。ただ、一般市民が積極的にモディ首相を歓迎していると捉えるのは早計で、今後の会議派のBJP批判などには注意が必要になろう。《RS》

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