【アナリスト水田雅展の銘柄分析】久世は25日線に沿った上昇続く、指標割安で上放れの構え

2013年12月5日 09:16

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  業務用食材卸の久世 <2708> (JQS)の株価はモミ合い展開だが、足元では徐々に水準を切り上げて上放れの構えを見せている。指標面の割安感に見直し余地があり、高値圏回帰の動きとなりそうだ。

  首都圏を地盤として外食・中食産業向け業務用食材の卸売事業を展開し、大手飲食チェーンなども主要顧客としている。子会社のキスコフーズは国内(静岡市)とニュージーランドで業務用高級ソース・高級スープの製造、久世フレッシュワンは東京都内で生鮮野菜など農産品の卸売を手掛けている。

  中期経営計画では、創業85周年の20年3月期に売上高1000億円、営業利益20億円を目指し、重点戦略として首都圏・関西圏・中京圏での販路拡大、全国ネットワーク強化、中食市場や高齢者施設給食市場の開拓強化、PB商品の拡販や製造利益の拡大、海外事業の基盤確立などを掲げている。M&Aや提携などのアライアンス戦略も積極化し、中京圏では12年6月に酒類販売大手サカツコーポレーションと業務提携して販路拡大を推進している。海外事業では中国・成都の子会社が来期(15年3月期)単年度黒字化の見込みだ。

  今期(14年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比7.0%増の600億円、営業利益が同2.9%増の5億60百万円、経常利益が同0.3%増の7億円、純利益が同0.6%増の3億70百万円としている。売上面は既存顧客との取引量増加や新規顧客の獲得などで好調に推移しており、円安に伴う商品仕入れ価格の上昇、増収に伴う物流費の増加、人員増に伴う人件費の増加などを吸収する見込みだ。

  増収減益だった第2四半期累計(4月~9月)の通期見通しに対する進捗率は売上高が50.9%、営業利益が9.6%、経常利益が25.9%、純利益が25.9%で利益進捗率が低水準だが、新規顧客の獲得は順調であり、商品仕入れ価格上昇に対する販売価格への転嫁や代替商品の提案による粗利益率改善、さらに物流面では全国ネットワーク構築や最新物流システム導入などで効率化を進めている。営業外収益改善効果もあり、期後半に向けて挽回が期待されるだろう。

  株価の動きを見ると、7月の戻り高値圏770円近辺から反落後は700円台の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし8月~9月のモミ合いで700円台固めを完了し、10月後半以降は徐々に水準を切り上げている。煮詰まり感を強めてモミ合いから上放れる動きのようだ。

  12月4日の終値745円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円38銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.6%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS1184円88銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形で700円台固めは完了している。低PERや低PBRに見直し余地があり、モミ合い上放れて高値圏回帰の動きとなりそうだ。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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