大企業での安定志向を崩せるか?3Dプリンタが日本のベンチャーに与える影響とは

2013年12月4日 11:30

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記事提供元:NewSphere

 安倍政権の成長戦略「アベノミクス」でも有望分野として強化する方針が掲げられるなど、日本で今3Dプリンタが注目されている。

 経産省は14年度予算要求で3Dプリンタ開発の支援事業として45億円を計上した。

 ただ、世界的にみると、3Dプリンタ市場における日本のシェアはわずか0.3%に過ぎない。一方アメリカが75%、ドイツが15%を占めている。

 米コンサルタント会社ウォーラーズ・アソシエイトは、3Dプリントや関連サービスの世界市場は、2021年までに今の5倍以上の110億ドルに成長すると予測している。今後世界的にさらなる発展を遂げることが見込まれる。

【日本の「ものづくり」精神復活は、安倍政権の手腕にかかっている】

 今年初め、安倍政権は景気の底上げを図る一環として、中小企業のための補助金制度を創設。これまでで全企業の77%が適用。申請企業数は、4月は15件、6月は2302件と急増している。

 家庭用3Dプリンタ製造のオープンキューブの坂口信貴社長は、「3Dプリンタは日本の「ものづくり」精神を復活させたい人の胸を打った」「真の価値は、これが将来新しいベンチャーにつながること」と語ったという。その他、「まず政府が、ベンチャーが繁栄する経済をつくる必要がある」という、昨年3Dプリンタ事業を立ち上げたキャノン出身者のコメントなどをロイターは掲載した。

 これらの起業家が日本製品の新時代の基礎を築くかどうかは、安倍首相が「大企業での安定を望む文化」を切り崩せるかどうかにかかっているとロイターは報じた。

【バルセロナではフード3Dプリンタ「Foodini」の予約開始】

 バルセロナのベンチャー会社ナチュラルマシンズは、フード3Dプリンタ「Foodini」を来年中頃に発売する予定だとスミソニアン誌が報じている。

 共同創業者のリネット・クシュマ氏は、スタートレックのようなSF合成技術には遠いが、「ラビオリのような料理に理想的」と語る。同製品のコンセプトは一般のキッチン家電のように日常的に使える便利なもので、これまでのフードプリント技術とは違うと強調する。

 「Foodini」は、タブレットやスマホを使うような感覚で使えるタッチスクリーンインターフェースを搭載。WiFiも内蔵し、オンラインコミュニティーに参加してレシピ共有することも考えているという。同社は既に予約を受け付けており、価格は1366ドルからとしている。

【イギリスのベンチャーは3Dプリントを歯科技工に活用】

 一方オックスフォードシャー州では、ソーナー3Dが全州の歯科技工室に売るパーツをつくる目的で、ドイツのエンビジョンテック社の3Dプリント機に投資したと、イギリスのIT情報サイトCRNが報じている。

 同社の技術を使えば、石膏モデルを使わず、カスタムメイドの矯正具をつくるため患者の口をデジタルスキャンできるという。歯科医が収納スペースを節約し、金型劣化も防ぐこともできる。

 ソーナー3Dのアンディ・ロビンソン氏は、3Dプリントは特に歯科市場で伸びると予想。「(3Dプリント)技術はひときわコストが賢いため普及していない。でも早期導入者はデジタルソリューションが必要」という。また、NHS(国民保健サービス)がコスト削減で先手を打つのは、彼らの3Dプリントにとってよいニュースだと語っている。

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