三井物産、ブラジルで一般貨物輸送事業に出資参画　約660億円を投資

　三井物産は19日、総合資源会社であるヴァーレがブラジルで運営する一般貨物輸送事業に出資参画することで同社と合意し、9月18日（ブラジル時間）に関連契約書を締結したと発表した。

　今回、ヴァーレの100%子会社で一般貨物輸送事業を運営するVLI S.A.が20億ブラジルレアル（約880億円）の第三者割当増資を実施する。三井物産はその内8億ブラジルレアルを引き受けるほか、ヴァーレより既存株式を7.09億ブラジルレアルで買い取ることにより、合わせて15.09億ブラジルレアル（約660億円）でVLI株式の20%を取得する。

　また、ブラジル連邦貯蓄銀行が運営する投資ファンド（以下「FI-FGTS」）が第三者割当増資の残りを引き受けることでVLI株式の15.9%を取得する。なお、三井物産のVLI株式の取得は、ブラジル関連当局の承認取り付けなどの条件充足をもって2013年末までに実行予定。

　VLIは、事業権や通行権を有する約10,700キロメートルの鉄道網とそれに接続する複数の港湾ターミナルを活用し、ブラジル中部及び北部地域において、穀物や肥料、製鉄原料や鉄鋼製品などの一般貨物を対象とした複合一貫輸送サービスを提供している。VLIは、鉄道輸送及び港湾能力の増強により貨物取扱量の倍増を目指しており、機関車・貨車の調達や鉄道網及び港湾ターミナルの整備・拡張など、今後5年間で約90億ブラジルレアル（約3,960億円）の新規投資を行う計画。必要資金は今回の20億レアルの増資のほか、VLIの営業キャッシュ・フロー及び借入により賄われる予定。

　三井物産は、ブラジル、米国、欧州およびロシアにおいて、貨車・機関車のリース提供および運行・保守管理業務の受託を行っているほか、世界各地で港湾インフラ事業に参画している。今回の事業への参画により、戦略的提携協定を締結するヴァーレとのパートナーシップをより強化すると共に、穀物などの輸送ルートの拡充を通じて、既にブラジルで取り組んでいる農業生産・集荷販売事業との連携においても総合力を発揮していく。

　ブラジルは世界人口の伸長に伴う食糧需要増に対応する世界有数の穀物輸出国であることに加え、ブラジル政府のインフラ投資計画の促進を背景に建設需要が旺盛であり、今後様々な分野で貨物輸送量の増加が見込まれている。一方、鉄道網の整備の遅れによるトラック輸送への依存度の高さや港湾設備の不足による高い物流コストが深刻な問題となっている。三井物産は、ヴァーレ及びFI-FGTSと共に、今回参画する事業を通じて、物流インフラの整備・効率化に加え、鉄道輸送の最適化により物流コストや環境負荷の低減を図り、ブラジル経済及び社会の一層の発展に貢献していく。