米国株式市場見通し:量的緩和の縮小、タイミングとともに規模も重要

2013年9月14日 15:47

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記事提供元:フィスコ


*15:47JST 米国株式市場見通し:量的緩和の縮小、タイミングとともに規模も重要

週初は、東京の2020年オリンピック開催決定を受けた日本株の上昇や、中国の8月輸出統計が予想を上ブレしたことが好感され堅調推移となった。ロシアがシリアに対して保有する化学兵器を国際管理下に置くことを提案し、米国による空爆などの軍事介入が回避されるとの思惑で続伸。注目のアップルのイベントではiPhoneの新型2機種が発表されたものの、廉価版と噂されていた「iPhone 5c」は、実質的に現行「iPhone 5」の置き換えで、新興国市場を狙った低価格の製品ではないことが明らかとなり、アップルの株価は急落となった。ダウ平均構成銘柄の入れ替えが発表され、23日付でバンク・オブ・アメリカとヒューレット・パッカード、アルコアが除外される一方、ゴールドマンサックスとビザ、ナイキの採用が明らかとなった。週後半になると週間新規失業保険申請数が予想よりも少なかったことで、量的緩和縮小への警戒感が高まった。またシリア情勢の進展を見極めたいとの思惑や、大型株で構成されるS&P500指数が7営業日続伸となるなど高値警戒感から上値の重い展開となった。週末にかけては、短文投稿サイトのツイッターが上場申請に入ったことが注目を集めたが、翌週にFOMC(連邦公開市場委員会)が控えていることもあり、小動きとなった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇

PCメーカーのデルは創業者のマイケル・デル氏と投資ファンドによる非公開化(MBO)が株主総会で承認された。ヨガ用品・アパレルのルルレモン・アスレティカや紳士服のメンズ・ウェアハウスは相次ぎ冴えない決算を発表して下落。一方でメディア大手のウォルト・ディズニーは最大80億ドルの自社株買いを発表して上昇。デルタ航空はBMCソフトウェアと入れ替わりS&P500指数構成銘柄に採用されたことで堅調推移となった。電子部品のモレックスはコーク・インダストリーズによる72億ドルでの買収に合意し急騰した。

今後は17-18日に開催されるFOMCが注目だ。6日に発表された8月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下振れしたこともあり、量的緩和縮小に着手するのは10月以降にずれ込むと見る向きも多い。しかしながら、タイミングとともに縮小の規模も重要であり、9月から小さな規模で縮小に取り掛かる可能性もある。今のところ10年物米国債利回りは3%を下回る水準にとどまっているものの、FOMCの結果を受けて長期金利が一段高となる場合には、株式相場も下落を余儀なくされるだろう。

経済指標では8月鉱工業生産・設備稼働率(16日)、8月消費者物価指数(17日)、9月住宅市場指数(17日)、8月住宅着工件数(18日)、8月中古住宅販売件数(19日)、8月景気先行指数(19日)などの発表が控えている。住宅ローン金利が上昇傾向にある中、住宅関連指標がどの程度底堅い内容となるかが注目だ。

個別企業ではソフトウェア大手のオラクルの決算が18日に予定されている。前回の3-5月決算では売上高が予想を下回ったことで、決算発表後に株価が急落となった為、投資家の期待は低い。なお、20日の取引終了後にダウ平均構成銘柄の入れ替えが実施される。S&P500指数に比べれば規模は小さいが、ダウ平均株価に連動するインデックス投信やETFもあり、20日の引けにかけてはやや変動率が高まる可能性がありそうだ。

(Horiko Capital Management LLC)《TN》

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