参院選 原発をどうする その選択は

2013年7月14日 16:05

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記事提供元:エコノミックニュース

 国民の過半数はエネルギー政策において「脱原発・原発に依存しない社会」への歩みを選択していた。

 国民の過半数はエネルギー政策において「脱原発・原発に依存しない社会」への歩みを選択していた。[写真拡大]

 「高濃度汚染水の地中への漏洩が生じ、海洋へ拡散が起こっていることが強く疑われる」。東京電力福島第一原発事故による海水汚染について、原子力規制委員会は高濃度の汚染水の地中への漏洩により汚染が海洋に拡散している事態が「強く疑われる」と深刻な事態であるとの認識を10日、示した。

 「地下水・海水のモニタリングデータについて引き続き注視し、必要に応じ追加モニタリングを指示する」方針だ。

 また(1)海洋への影響を遮断するための薬液注入による地盤改良対策の早期完了の必要(2)来年度中の完成予定ですすめている海側遮水壁工事の早期完了を促す(3)汚染源の可能性のある海側トレンチ内の汚染水の濃度低減と抜き取り作業の早期実施を促すことにした。

 放射性物質の流出による被害は収束しているといえるのだろうか。東京電力は原発が大きな事故に見舞われた場合の地球環境や生態系への影響をどの程度に受け止めているのだろう。

 当事者として、事故の深刻さを認識し、直接の被害者らには補償で対応しているが、地球環境への影響、自然界の動物、魚介類、植物などあらゆる生態系への影響への責任について、少なくとも経営陣の認識はどうなのか。訴える術のない彼らへの償いをどうすることが償いになるかを身を持って示すべきではないか。それは「即刻原発ゼロ」への一歩を踏み出すことだ。

 しかし、どうも東京電力の見据えている世界は違うようだ。東京電力は新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる柏崎刈羽原発の再稼動の申請を8日は見送ったが、泉田裕彦新潟県知事が国民の理解は到底得られないと申請姿勢に強く反発したことなどを受けての対応に過ぎないのではないか。申請を残念したとの表明はない。

 原発事故が起きたときの深刻さ、今も避難生活を余儀なくされたり、ふるさとに戻れない人たちを作り出してしまった当事者としての責任の重大さを認識しているのであれば「即時原発廃止」への対応に進むのが自然と思うのは、わたしだけだろうか。

 他の電力会社の手本として「原発に依存しない電力事業者」への道を宣言し、その取り組みを態度で示すべき立場にあるはずなのだが。7日の原発新規制基準施行とともに再稼動申請をうかがわせた東電の姿勢は真逆というほかない。

 国民の過半数はエネルギー政策において「脱原発・原発に依存しない社会」への歩みを選択していた。原発を今後も活用しようとする人たちに福島原発のような第2の事故が起きたらどうするのか、対応をお聞きしたい。現実問題、起きてからでは原状回復には多くの犠牲とあまりに多くの時間と叡智を結集しても苦難の道のりになる。そのことを福島原発は教えている。

今回の事故で、原発・エネルギー政策は国民ひとり一人が地球に住まう生命体のひとつとして、つまりは自身の問題として考えなければならないテーマになった。そのことを踏まえて、参議院選挙では「原発」への各党の対応を見極め、一票を投じることが必要なのだろう。どんなことがあっても原発は必要という考えは考えとしてあっても、それは自由なのだろう。

 そうしたことを踏まえて、各党の立場をみてみよう。

自民党は「原発の安全性は原子力規制委員会に委ねる。安全と判断されたものは国が責任を持って再稼動につき地元自治体の理解を得られるよう最大限努力する」。安倍総裁は「エネルギー安全保障上、資源・エネルギーの多様で多角的な供給構造を確立する」として、「脱原発基本法案に賛成しますか」との問いには「いいえ」と回答した。

民主党は「40年運転制限制を厳格適用、原子力規制委員会の安全確認を得たものは再稼動、原発の新設・増設は行わないとの3原則を厳格適用したうえで、2030年代に原発稼動ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入する」とした。

 公明党は「原発の新規着工は認めず、40年運転制限制を厳格適用。可能な限り速やかに原発に依存しない原発ゼロをめざす」と明記した。「高速増殖炉もんじゅは廃止」ときっぱり重要政治課題で表明。

 日本維新の会は「先進国を主導する脱原発依存体制を構築する」とした。「廃炉への道筋を明確化する」などもあげた。

 

 みんなの党は「電力自由化による原発ゼロ」を掲げ「2020年の完全電力自由化、20年代の原発ゼロ。原発国民投票法の制定」などをあげる。

 生活の党は「原発再稼動や新増設は一切認めない」脱原発社会の実現をめざす。

 共産党は「国内原発は即時ゼロ。また再稼動はさせず、直ちに廃炉の手続きに入る。海外輸出も中止させる」と脱原発社会早期実現の姿勢を鮮明にする。

 社会民主党は「再稼動は一切認めず、新設計画は白紙撤回、脱原発基本法を制定し、老朽化した原発から順次廃炉にする」方針。

 みどりの風は「再稼動なし、2023年までにすべての原発の完全廃炉を決定。核のゴミ処理を確立することで脱原発を着実に実行」と重点政策に掲げた。

 原発政策においては自民以外は「原発ゼロ」に向いている。ただ、どの程度の時間で、どのような方法で具体化していくのかについては各党に違いも見られる。各党の公約や原発ゼロ具現の方法論など、党のこれまでの原発に対する取り組みや党首らの発言、政調会長らの発言などもろもろ収集して総合判断していくことが必要だ。原子力エネルギー政策は地球規模の視点から見なければならない課題であり、人類にとってどうなのか、原発事故の火中にある国民の一人として、投票までに、じっくり考えていただきたいものだ。(編集担当:森高龍二)

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