【編集長の視点】ソフトバンク250円高も「良いM&Aか悪いM&Aか」揺れる

2012年10月16日 12:11

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットトーク>

  ソフトバンク <9984> は、250円高の2518円まで買い進まれ7営業ぶりに急反発している。前日15日大引け後に10月11日に観測報道された携帯電話で米国第3位のスプリント・ネクステル社の買収を正式に発表、買収により携帯電話の日米加入件数は、約9000万件と国内トップとなり、グループの売上高は、約6兆3000億円と世界第3位に躍り出て、約1兆5709億円に達する投資総額の資金調達は、手元資金と内外銀行の新規のブリッジローンとして新株発行を伴わず、配当政策も継続するとしたことに反応、下げ過ぎ訂正買いが再燃している。

  ただ、10月1日に発表したイー・アクセス <9427> の完全子会社化資金約1800億円を含めた相次ぐ大型買収が、財務負担を強めるとの懸念も根強く、「良いM&Aか悪いM&Aか?」は、これから評価が決まるとして強弱感が分かれそうだ。

  これまでも海外企業の大型M&Aは数多くあったが、良いM&Aの代表といえば、買収金額が約1兆8000億円と日本企業の過去最大案件となったJT <2914> (日本たばこ産業)の2007年4月完了の英国たばこメーカー・ギャラハー社の買収だろう。株価は、これを好感した3540円高値まで約1000円高、その後も海外たばこ関連企業の買収が続き、伸び悩む国内事業を海外事業がカバーするビジネスモデルの強化につながった。

  一方、悪いM&Aの典型は、日本板硝子 <5202> による英国ガラスメーカーのピルキントン社の2006年6月完了の完全子会社化だろう。すでに20%の株式を保有し持分法適用会社としていた同社の全株式を約3600億円で取得した。買収発表直後に株価は773円高値まで250円高した。ただその後は、買収資金が経営負担となり、買収先の外国人幹部を同社社長に就任させる輸入人事も不調となり、株価は、今年8月に上場来安値53円まで売られ、完全子会社化発表からは10分の1まで減価している。

  株価は、イー・アクセス完全子会社化では3250円高値まで250円高と好感高し、スプリント買収報道では、同高値からストップ高寸前まで売られるなど約900円幅の急落となっており、相次ぐ大型買収が、良いM&Aか悪いM&Aか、JT型か板硝子型か、株価的にはなお強弱感対立が激化しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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