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【相場展望】過度な警戒感後退で買い戻し優勢の展開を想定
【株式市場フューチャー:12月5日~9日の株式市場見通し】
■週末のSQや地合い改善で戻り歩調の可能性も
来週(12月5日~9日)の日本株式市場については、前週(11月28日~12月2日)に続いて、買い戻し優勢の展開を想定する。週末9日のメジャーSQ(特別清算指数)算出に向けて、買い戻しが加速する可能性もあるだろう。
世界的なソブリンリスクや景気減速に対する警戒感など、海外要因に神経質な状況に変化はなく、前週の大幅反発の反動で利益確定売りも出やすい状況だろう。しかしユーロ圏債務危機問題に対する過度な警戒感が後退し、8日~9日のEU首脳会議に対する期待感も高まっている。米国の主要経済統計にも堅調さが目立ち、米景気の2番底に対する警戒感が後退している。中国が預金準備率引き下げで金融緩和方向に転換したことや、外国為替市場で円高が一服していることも支援材料だろう。
さらに国内主要企業の業績動向に関しても、12年3月期の下振れ懸念は織り込み済みであり、13年3月期の業績動向に焦点が移り始めている。地合い改善で戻り歩調を鮮明にする可能性もあるだろう。
前週は、日経平均株価(225種)、TOPIXともに5週ぶりの上昇に転じた。週間上昇率は日経平均株価が483円74銭(5.93%)、TOPIXが37.54ポイント(5.32%)だった。前々週(11月21日~25日)の大幅下落の反動に加えて、30日には日米欧主要6カ国・地域の中央銀行がドル資金供給を拡充するための協調対応策を発表したため、金融市場の緊張が和らぐとの期待感が高まった。中国人民銀行が08年12月以来、ほぼ3年ぶりに預金準備率を引き下げて金融緩和方向に転じたことも好感した。外国為替市場で円高が一服したことも支援材料だった。
ユーロ圏の債務危機問題については、主要各国の国債利回り上昇が続いていたため各国の国債入札が注目されたが、国債入札は概ね順調な結果となり、各国の国債利回りはやや落ち着いた展開となった。29日のユーロ圏財務相会合では特に目立った進展はなく、EFSF(欧州金融安定基金)の規模は1兆ユーロに達しない見通しとなった。しかしギリシャ向け融資の実行、EFSFの機能拡充、IMF(国際通貨基金)資金源拡大の検討などで合意した。市場が期待するECB(欧州中央銀行)の役割拡大やユーロ共同債の導入については、メルケル独首相が引き続き反対の立場を強調したが、12月8日~9日のEU首脳会議でEU条約改正に関する協議が進展するとの期待感も高まった。また1日にはドラギECB総裁が、各国政府がユーロ圏の財政統合を推進するのであればECBはより大きな役割を果たしえると示唆したことが伝えられた。
米国の主要経済統計を見ると28日には、米10月新築1戸建て住宅販売が前月比1.3%増加して市場予想を上回った。30日には、米11月ADP雇用リポートで民間の非農業部門雇用者数が20.6万人となり、前月の11.0万人から大幅に増加して市場予想の13.0万人も上回った。米11月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は62.6となり、前月の58.4から上昇して市場予想も上回った。1日には、米11月ISM製造業景況感指数が52.7となり、前月の50.8から上昇して市場予想も上回った。新規失業保険申請件数は40.2万件となり、前週比0.6万件増加して市場予想よりやや悪化した。2日には、米11月雇用統計で失業率は8.6%となり、前月の9.0%に比べて0.4ポイント低下して市場予想以上に改善した。非農業部門雇用者数は12.0万人増加となり、市場予想をやや下回ったが前月改定値の10.0万人に比べて改善した。概ね堅調な結果となり、米景気の2番底に対する警戒感はやや後退している。
前週末2日の米国株式市場はほぼ横ばいだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比61セント(0.01%)安と小幅に続落した。米11月雇用統計を好感して、序盤には前日比126ドル65セント高まで上昇する場面もあったが、週末要因などで利益確定売りが優勢になって上昇幅を縮小した。結局、僅かながら前日比マイナス圏で取引を終了した。S&P500株価指数も前日比0.02%安と小幅続落したが、ナスダック総合株価指数は前日比0.03%高と小幅に3営業日続伸した。全体としては28日と30日に大幅上昇した反動は見られず、堅調な展開だった。
外国為替市場では、前週末2日の海外市場でドル・円相場が1ドル=78円00銭近辺、ユーロ・円相場が1ユーロ=104円台50銭~60銭近辺となり、いずれも円高が一服した形となっている。
このため週初5日の日本株式市場も堅調なスタートとなりそうだ。その後は8日~9日のEU首脳会議を控えて様子見ムードを強める可能性も考えられるが、底堅さが確認されれば戻り歩調が意識される可能性も高まるだろう。
テクニカル面で見ると、日経平均株価(2日時点の8643円75銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同8573円14銭)に対しては0.82%のプラス乖離に転じたため、当面の下値支持線として意識される形になった。75日移動平均線(同8682円51銭)に対してはマイナス0.44%であり、これを当面の上値抵抗線として意識するか、あっさり突破して戻り歩調を意識するかが焦点だろう。
■注目スケジュール
来週の注目スケジュールとしては、国内では7日の11月末外貨準備高、8日の10月機械受注、10月経常収支、11月上中旬貿易統計、11月景気ウォッチャー調査、9日の7~9月期GDP2次速報値、10~12月法人企業景気予測調査、11月マネーストック統計、臨時国会会期末、株価指数先物・オプション12月物SQ(特別清算指数)算出などがあるだろう。その後の重要イベントとしては、15日の日銀短観、20日~21日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。
海外では、5日のユーロ圏10月小売売上高、ユーロ圏11月総合・サービス部門PMI改定値、独仏首脳会談、モンティ伊首相が財政緊縮策を発表、米10月製造業新規受注、米11月ISM非製造業景気指数、エバンズ米シカゴ地区連総裁の講演、6日の豪第3四半期経常収支、豪中銀理事会(金利発表)、独10月鉱工業受注、ユーロ圏第3四半期GDP改定値、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、カナダ中銀金利発表、7日の豪第3四半期GDP、ニュージーランド中銀金利発表、独10月鉱工業生産、ベルギー第3四半期GDP、英中銀金融政策委員会(~8日)、ギリシャ議会12年予算案採決、米10月消費者信用残高、米住宅ローン・借り換え申請指数、8日の韓国中銀金融政策決定、インドネシア中銀金融政策決定、英中銀金融政策委員会(金利発表)、ECB理事会(金利発表)と記者会見、EU首脳会議(~9日)、米10月卸売在庫、米新規失業保険申請件数、9日の中国11月主要経済統計(PPI、CPI、小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資)、独10月貿易収支、英10月貿易収支、EU首脳会議(最終日)、米10月貿易収支、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、10日の中国11月貿易統計などがあるだろう。その後の重要イベントとしては、13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが予定されている。なお5日はタイが休場、6日はインドが休場となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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