目が離せない!マリコン(海上土木)各社に大浮上の転機=浅妻昭治

2011年3月23日 19:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「コンクリートから人へ」といえば、2009年の衆議院選挙で民主党が圧勝、政権交代を実現したときのキャッチフレーズである。ハコモノ、橋、道路の公共事業のムダを徹底的に削減することをアピールしたキャッチフレーズで、このシンボル政策となったのが、槍玉に上がった八ツ場ダムの建設中止であった。

「コンクリートから人へ」といえば、2009年の衆議院選挙で民主党が圧勝、政権交代を実現したときのキャッチフレーズである。ハコモノ、橋、道路の公共事業のムダを徹底的に削減することをアピールしたキャッチフレーズで、このシンボル政策となったのが、槍玉に上がった八ツ場ダムの建設中止であった。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  「コンクリートから人へ」といえば、2009年の衆議院選挙で民主党が圧勝、政権交代を実現したときのキャッチフレーズである。ハコモノ、橋、道路の公共事業のムダを徹底的に削減することをアピールしたキャッチフレーズで、このシンボル政策となったのが、槍玉に上がった八ツ場ダムの建設中止であった。費用対効果の公共投資の投資効率のスタンスからは、「200年に1回の大降雨量、大洪水」は想定し難く、備えるまでには至らないとして、建設中止の政策転換を図るものであった。

  しかし、いまや「200年に1回の大降雨量、大洪水」どころではない。「1000年に1回の巨大地震」が、青森県から千葉県までの太平洋沿岸に広範囲に発生した。マグニチュードは9.0に達し、激震を受けた家屋を大津波が襲い、東京電力 <9501> の福島第1原子力発電所は、なお放射性物質の拡散が止まらない危機的状況にある。

  被災地の被害を拡大したのは、巨大地震に続いて起こった大津波である。ギネスにより世界最水深防波堤と認定された釜石湾口防波堤や、「万里の長城」と異名を奉られた宮古市田老地区の防潮堤も、アッという間に大津波に飲み尽くされ破壊された。巨大自然災害のマグニチュードは、いまなお被災地で救援を待つ被災者を苦しめ続けているのである。

  被災地の復興シナリオは、まだ描かれる段階ではない。玄葉光一郎国家戦略担当相は、平成23年度補正予算に関して、3回、4回もの編成に言及したが、被害の全体像を掴めているかといえば、いまだに模索の域を出ていないように見受けられた。ただ、そのなかで巨大自然災害を前にして、「安心、安全」が、最優先政策課題に浮上することだけは間違いないだろう。社会資本整備である。「コンクリートから人へ」ではなく「コンクリートからコンクリートへ」を目指す逆政策転換である。現に福島第1原発事故を教訓に、中部電力 <9502> では、浜岡原子力発電所に海面上12メートルの高さの防波堤と防水板を整備する計画が報道された。

  ギネス記録を更新する湾口防波堤や「万里の長城」を上回る防潮堤の建設プロジェクトが相次ぐようなら、業績と株価の低迷に喘いでいたマリコン(海上土木)各社にも、大浮上の転機となるかもしれない。前日22日は、大津波の被災地の港湾を埋め尽くした土石の浚渫工事思惑で東亜建設工業 <1885> 、若築建設 <1888> 、東洋建設 <1890> 、五洋建設 <1893> が揃ってストップ高した。そのストップ高水準で恐縮だが、マリコン株の今後の株価動向からはなお目が離せない展開が続く可能性がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

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