絶滅危惧種アカモズの保全へ大きな一歩。豊橋総合動植物公園などが飼育下初の産卵と試験放鳥に成功=研究成果は国際学術誌「Zoo Biology」へ
プレスリリース発表元企業:豊橋市
配信日時: 2026-11-02 09:00:00
日本で絶滅の危機にひんしているモズ科の「アカモズ」の保全に共同で取り組んでいる豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)は、飼育下での初産卵を確認しました。保護、育成した個体の試験放鳥にも成功しました。同園などはこれらを今年の成果として発表し、「アカモズの飼育下での繁殖技術の確立と、野生復帰に向けた重要な前進」と評価しています。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/25583/1066/25583-1066-bd20174f23ae20dc8d89db0773e945e8-2134x1600.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
アカモズ(2025孵化人工育雛個体 20251106撮影)
日本でしか繁殖しない希少種。野生下では依然として危機的状況
全長約20cmのアカモズは、アジアに広く生息するものの、日本のみで繁殖する渡り鳥です。冬になると、生息が確認されている北海道や長野県など東日本から東南アジアへ渡っていきます。しかし、本州では個体数が減少しており、環境省のレッドリストで絶滅危惧種IA類(ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高い種)に選定され、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種にも指定されています。
このため、豊橋総合動植物公園は2023年度から、人間環境大学環境科学部、長野アカモズ保全研究グループなどと共同でアカモズの保全を目指した取り組みを進めています。
2026年は、24年に豊橋総合動植物公園で人工ふ化し、育った雌1羽が4個の卵を産卵。無精卵でしたが、飼育環境下での産卵確認は今回が初めてです。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/25583/1066/25583-1066-97cf86650338fe22564e7902256abb72-3527x2645.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
試験放鳥したアカモズ(人間環境大学岡久研究室提供)
また、26年も長野県内で親鳥が放棄した卵を保護し、人工ふ化させたほか、衰弱していたヒナを救護しました。巣立った4羽を屋外ケージで自立訓練(馴化訓練)を実施し、このうち1羽は共同実施者が8月9日に長野県内で試験的に放鳥しましました。その後、自力で餌を採る姿や野生の個体と合流して行動する様子を確認しています。
一方、長野県内の観察では今年の野生下の繁殖ペア(つがい)が30組にとどまり、昨年の43組から大幅に減少、野生個体群は依然として極めて危機的な状況となっています。
今後も、繁殖地での保全と、野生個体群の回復に向けた取り組みを進めていきます。
国際学術誌「Zoo Biology」に「救護孵卵(ふらん)」技術の論文が掲載
放棄されたアカモズの卵を救護し、ふ化へつなげる「救護孵卵(ふらん)」の技術に関する論文が2026年9月29日、共同研究の成果として、動物園、水族館研究分野を代表する国際学術誌「Zoo Biology(ズー・バイオロジー)」のオンライン版に掲載されました。[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/25583/1066/25583-1066-aac21fb2b0d2370f143dba8edc8874fa-1477x1108.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
人口育雛中のアカモズの雛
二段階の「救護孵卵」で高いふ化率を実現
豊橋総合動植物公園と人間環境大学環境科学部フィールド生態学科岡久研究室、長野アカモズ保全研究グループは、野外で放棄された卵を救護し、現地付近の小型孵卵器で一時的に管理し、その後、設備の整った動物園へ移送して人工ふ化させる二段階の救護孵卵の技術を確立しました。生息地での継続的な観察と動物園の飼育技術を結び付け、通常はふ化に至らない放棄卵を保全に生かすための実践的な手順です。取り組みを始めた2023年から3年間で、長野県内の20巣から83個の卵を救護し、41羽(ふ化率約56.2%)の誕生に成功しています。
ふ化の成否には、親鳥が抱卵を続けていた日数や、抱卵の中断中に野外で経験した最低気温、動物園での人工孵卵条件が関連していました。
放棄されるまでに親鳥が抱卵した日数が長いほど、また抱卵中断中の野外の最低気温が高いほど、ふ化率が高い傾向でした。
動物園での管理では、温度37.8℃で、1日1回5分間の冷卵(卵を短時間冷やす操作)を行う条件が、最も高いふ化率となりました。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/25583/1066/25583-1066-27b12e2e96cffaa6d8f8b2591d3d16fe-831x325.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
救護孵卵の流れ(人間環境大学岡久研究室提供)
今後の展望 他の希少鳥類保全への応用も期待
豊橋総合動植物公園は、これまでの研究により、生息地での巣の監視から放棄卵の救護、一時保温、動物園への移送、人工ふ化までを一連の手順として整理できたとしています。大学や地域の保全関係者、動物園が連携することで、絶滅の危機にあるアカモズの飼育個体群確立や野生復帰を後押しする基盤になると期待しています。さらに、確立された救護孵卵技術は、アカモズにとどまらず、同様の課題を抱える他の鳥類の保全にも広く応用できるものとして期待が寄せられています。
アカモズは、豊橋総合動植物公園内野鳥園で見ることができます(※令和8年10月28日現在、一時的に展示を中止しています。再開時はのんほいパークHP https://www.nonhoi.jp/ でお知らせします。)
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人工育雛で育ったアカモズ
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