【提言】危機の時代のエネルギー自律化
プレスリリース発表元企業:株式会社三菱総合研究所
配信日時: 2026-09-09 11:00:00
有事に膨らむ化石燃料費、需給構造の変革で約1兆円の負担を回避
株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は、中東情勢の悪化を契機に、今後も起こり得る国際情勢・資源・物流環境の変化を見据え、エネルギー需給構造のあり方を検討しました。エネルギーの需要・供給とその優先順位を柔軟に組み替え、社会機能を維持する「エネルギー自律化」という考え方を提示し、その実現に向けた三つの制度転換を提言します。
1. 背景
2026年2月末以降の中東情勢悪化により、日本のエネルギー供給は、価格上昇だけでなく、調達、海上輸送、国内精製・流通にわたる複合的な制約に直面しました。備蓄と調達先の多角化は、短期的な供給途絶には有効な対策であるものの、危機が長期化すれば、価格高騰や物流・供給制約、長期契約や設備投資の判断の遅れが重なり、それだけでは社会全体への負担増を抑えきれません。
2. 概要
危機の時代に求められるエネルギーの自律化MRIは、外部環境が変化しても、エネルギーの需要・供給とその優先順位を柔軟に組み替え、社会機能を維持するための選択肢を平時から確保する「エネルギー自律化」の実現に向けた方策を提言します。これは、すべてのエネルギーを国内で賄う自給自足ではなく、外部依存を一定程度抑えつつ、危機時に需給を自ら調整・切り替えられる能力を高める考え方です。
図表1 エネルギー自律化に向けた需給構造の三つの転換
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/50210/273/50210-273-e340160a43e0842c3e7be4d5ac05c806-1484x776.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
三菱総合研究所作成
短中期での有望技術の総動員により、有事の負担を約1兆円回避
2035年度を想定して、BAU(Business as Usual:現行政策・既定計画に沿った成り行き)シナリオに追加対策を上乗せした「自律シナリオ」を設定し、エネルギー需給分析モデル(MRI-TIMES)で効果を評価しました。本試算では、一定の燃料価格高騰が1年間継続する有事を想定し、両シナリオを比較しました。分析対象は、再生可能エネルギー、原子力、石炭火力、自動車、資源循環の5分野です。
この想定の下では、化石燃料費の追加負担を回避する効果は、5分野合計で約1兆円となりました。単一技術ではなく、複数の対策を組み合わせることで大きな負担回避につながります。
図表2 有事における自律シナリオの化石燃料負担回避効果および内訳(2035年度、 BAU比)
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/50210/273/50210-273-964ffe9627e341e82043a232d292ea02-1484x1024.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
三菱総合研究所作成
エネルギー自律化を支える三つの制度転換
日本のエネルギー安全保障を強化するためには、備蓄や調達の多角化に加え、エネルギーの需給構造そのものを危機に強い形へ転換する必要があります。その実現を制度面から支えるため、危機時価値の評価、供給機能を確保する契約・制度、地域単位での資源活用を柱とする三つの制度転換を提言します。
図表3 エネルギー自律化を実現する三つの制度転換
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/50210/273/50210-273-826351d12f9593bc8b85c1b7882b2dac-1484x832.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
三菱総合研究所作成
3. 今後の展開
中東情勢の不安定化を踏まえ、日本にはエネルギーの海外依存に伴うリスクを抑え、エネルギー自律化を進めることが求められます。MRIは、エネルギー安全保障を脱炭素、産業競争力、地域振興と一体で捉える政策・事業設計に向け、研究・提言を深めます。レポート全文
【提言】危機の時代のエネルギー自律化目次構成:
第1章:ホルムズ危機で露呈した脆弱(ぜいじゃく)性 (平時合理性が有事の脆弱性に反転する構造/危機の時代に求められるエネルギー自律化の方向性)
第2章:危機の時代のエネルギー自律化(「自律化」で実現する有事の1兆円負担回避/自律シナリオの設計/有事のコストアップ回避につながる自律シナリオ/各論:再生可能エネルギー、原子力、石炭(火力)、石油(自動車・資源循環))
第3章:残存石油需要と供給網の再設計(石油需給構造/石油需給構造の転換拠点)
第4章:地域資源による分散型レジリエンス(地域未利用資源の平時・有事価値/地域に賦存する未利用バイオマス/地域の低利用土地資源)
第5章:結論と政策提言:エネルギー自律化を実現する三つの制度転換
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