アジア消費者、ついに価格から質へのシフトの時代へ。大規模定点消費者調査より

プレスリリース発表元企業:ローランド・ベルガー

配信日時: 2026-05-11 11:46:19

日本のブランドと小売業にとっては、優れた品質の自社製品・サービスをいかにアジアの多様で巨大な市場に展開するかがカギ



2026年4月30日(東京)‐ 欧州最大級の経営コンサルティングファームである株式会社ローランド・ベルガー(グローバル本社:ドイツ、ミュンヘン 日本法人代表取締役:大橋譲 以下、ローランド・ベルガー)は、最新レポート「アジア消費者トレンド:複雑化する市場環境における成長からモメンタムへの移行(Unraveling Asia's complex consumer landscape)」を発表しました。

アジアは今後10年で民間消費が約40%、金額にして約7兆米ドル増加する見通しであり、引き続き世界最大の成長エンジンであることに変わりはありません。一方で、地政学リスク、インフレ後の生活コスト意識、所得見通しの不透明さが重なり、消費者の行動はかつてなく慎重かつ選別的になっています。

本調査では、マスマーケットおよび飲食(F&B)分野を含む消費バスケットの変化、消費者の支出・貯蓄動向、購入場所や購買意思決定の方法、さらに2026年に成長が見込まれるラグジュアリー市場と、横ばいが予想される市場について分析しています。また、日本を含めたアジア11か国に関する分析と今後の見通し、市場に参入する企業への提言も詳細に紹介しています。

本調査結果によると、日本市場のアジアにおける特異な位置づけが改めて明らかとなりました。成長率は低いものの、品質志向、信頼、体験価値といった目に見えない資産の重要性は、アジア11か国で最も高く捉えられています。ラグジュアリー市場においては、質へのこだわりを持つ消費者は、アジア11か国中、依然日本の消費者が最も高く、全ての国で半数以上が価格より質へのこだわりを示しています。

調査結果のハイライトは、以下の通りです。

「次世代成熟市場モデル」としての日本

日本の消費者は極めて慎重だが、同時に「納得できる価値」には支払いを惜しまない。コンビニを起点とした高頻度・高品質消費、ヘルスケア・機能性食品への需要拡大、二次流通(リユース・認証)の受容などは、日本がすでに「次世代成熟市場モデル」に入っていることを示している。

日本企業への示唆(簡易版)
- 日本は「成長市場」ではなく、「価値創出市場」
- アジア戦略のショーケースとしての日本
- サステナビリティは語らず、製品で証明する
- 高齢化×デジタル×体験の融合


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「日本国内で提供されるモノやサービスの品質そのものや、それを体験した外部からの評価は非常に高い。これらの輸出方法の探索がカギとなる」

ローランド・ベルガー 
プリンシパル 速水 亘



アジア市場の「必需品主導」への回帰と、選択的プレミアム化

アジアでは消費の軸足が必需品に戻っている。食料品などの日常必需カテゴリーは全市場で堅調な一方、嗜好品は縮小傾向にある。

ただし、消費者は単に節約しているわけではない。安さではなく、信頼できる品質を重視し、価値ある分野に選択的に支出している。結果として、健康や食品品質など必要性の高い領域でのみ、限定的なプレミアム化が進んでいる。

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「アジアは伝統的小売がまだまだ残る一方、即配やQコマース等も進み、流通の複雑化は加速している。日本のモノがアジアで需要される余地は引き続き大きいが、その“売り方”が重要となる」

ローランド・ベルガー 
アジアジャパンデスク統括 プリンシパル 下村 健一



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サステナビリティの「後退」ではなく「再定義」

本調査で特徴的なのは、サステナビリティが単独の購買動機としては後退している点である。日本、韓国、東南アジアの中所得国では、重視度が前年差で低下した。ただし、これは消費者がESGを否定しているわけではない。
経済的不確実性が高まる中で、消費者はまず「確実な価値」「長く使える品質」「信頼できるブランド」を優先しているにすぎない。サステナビリティは、訴求軸として前面に出るのではなく、「品質や耐久性を裏付ける一要素」として統合されることが求められている。

ラグジュアリー:回復するが、成長は二極化

アジアのラグジュアリー市場は回復基調にあるものの、成長は均一ではない。インドや東南アジアの新興国では若年層を中心に需要が伸びる一方、日本や韓国、香港などの成熟市場では伸び悩んでいる。
特に日本では新規顧客の増加が見られず、市場は既存顧客の深耕フェーズに入った。今後は、ブランドの信頼性や品質、真正性といった本質的な価値が、これまで以上に成否を左右する。
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オムニチャネルは「前提条件」へ

デジタルとリアルを融合したオムニチャネルは、もはや差別化要因ではない。日本、シンガポール、韓国では「存在していて当たり前」となり、競争軸はスピード、摩擦のなさ、体験の完成度へと移行している。一方で、新興市場では、オムニチャネル自体がなおブランドの「格」を示す重要なシグナルであり、プレミアム化の起点として機能している。

経営への示唆:成長から「モメンタム」へ

アジア市場で勝ち続けるために、企業に求められるのは拡大ではなく「精緻なオーケストレーション」である。中国で規模を支え、インド・ASEANで将来に投資し、日本や韓国ではプレミアムとロイヤルティを刈り取る。市場ごとの役割を明確に分け、価格、ブランド、チャネル、投資配分を再設計できるかが、次の10年を左右する。


最新レポート「アジア消費者トレンド:複雑化する市場環境における成長からモメンタムへの移行(Unraveling Asia's complex consumer landscape)」は、当社ウェブサイトよりご覧いただけます。


本調査方法の詳細
Consumer
・調査期間 :2025年12月1日~2026年1月31日
・調査機関:ローランド・ベルガー
・調査対象:アジア11か国(中国、香港、インド、日本、韓国、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、タイ、シンガポール)の様々な収入層の18歳~55歳程度の男女
・有効回答数:3,500名
・調査方法:オンラインによる選択回答。結果は、性別、年齢、地理的位置、回答者の支出行動ごとにデータを分類。

ローランド・ベルガーについて

ローランド・ベルガーは、世界有数の経営コンサルティングファームとして、幅広い業界と手法に対応するサービスをご提供しています。本社をドイツのミュンヘンに置き、1967年の設立以来、あらゆる業界における、変革、イノベーション、そしてパフォーマンス向上における専門性と実行力に高い評価と信頼を得ています。すべてのクライアント支援でサステナビリティを両立させる理念を持ち、持続的な企業および経済の発展の貢献に取り組んでいます。
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