IEEEが提言を発表 ニューロシンボリックAIとは何か?
配信日時: 2025-12-09 15:00:00
IEEE(アイ・トリプルイー)は世界各国の技術専門家が会員として参加しており、さまざまな提言やイベントなどを通じ科学技術の進化へ貢献しています。
【サマリー】
・ニューロシンボリックAIは、人工知能の二大分野を融合したものです。データからパターンを識別することを学習するニューラルネットワークと、明示的なルールや論理を適用して結論を導くシンボリック推論システムです。
・これはしばしば人工知能の第三の波と呼ばれ、それぞれの手法が単独では抱える弱点を補えることから、研究コミュニティや企業から大きな注目を集めています。
・倉庫内のロボットなど、既に一部の大企業で活用されており、その他の自律システムにおいても有望な応用が見込まれています。
ニューロシンボリックAIは、単独では解決が困難な課題を両方のAI技術で補完するため、「第三の波」と呼ばれることが多くあります。その名称は、その仕組みを示す手がかりとなっています。
名称の「ニューロ」部分は、1980年代以降主流となったAI手法であるニューラルネットワークを指します。データからの学習に優れ、パターン認識能力を持ち、生成AIシステムの基盤となる大規模言語モデルを支えています。
名称の「シンボリック」部分は、1950年代に遡る第一世代のAI研究の一部であった記号推論システムを指します。これはコンピュータに明確な論理的ルールを教え、そこから推論させる手法でした。例えば「全ての哺乳類は肺を持つ」というルールがあれば、クジラが哺乳類と分かれば「クジラは肺を持つ」と推論できます。
本Q&Aでは、IEEEフェローのHoubing Song氏によって、この新興パラダイムが研究者や業界リーダーの注目を集める理由を解説します。
【これら二つの異なるAIアプローチを組み合わせる必要性の背景には何があるのでしょうか?】
ニューラルネットワークは学習能力があるため未知の環境で優れていますが、その処理過程は不透明で理解が難しい場合が多くあります。これらのシステムがどのように意思決定を行うのかが不明なため、説明可能性が低いという課題があります。一方、記号的システムは確立されたルールに従うため、既知の環境では効果的です。しかし新しい状況での一般化が困難であり、頑健性に欠けるという課題があります。
研究者たちは、ニューラルネットワーク(特に深層学習)が直面する説明可能性の課題と、記号推論が抱える汎化能力・頑健性の課題に対処する解決策を模索していました。
【この「学習」と「推論」という二重のアプローチは、心理学や認知科学の特定のモデルに触発されたのでしょうか?】
ニューロシンボリックAIは、心理学者ダニエル・カーネマンの「人間は二つの思考様式を持つ」という考え方を反映しています。一つは迅速で直感的な思考、もう一つは遅いが論理的な思考です。
迅速で直観的なシステムはパターン認識に非常に優れており、深層学習やニューラルネットワークに似ています。遅く論理的な思考様式は記号推論システムに似ており、計画立案、演繹、熟考型思考に長けています。
学習し、推論し、人間の助言を受け入れ質問に答えながら対話できる、堅牢で確信に満ち信頼できるAIには、この両方が必要です。
【ニューロシンボリックAIは、現在の主流AIシステムをどのように改善するのでしょうか?】
現在の主流AIシステムと比較して、ニューロシンボリックAIシステムは、推論や操作の対象となる概念を理解し、文脈に応じた介入に対して適切に行動を変更し、その動作を社会の期待や人間の意図に整合させることが可能です。
【ニューロシンボリックAIが特に優れる現実世界の例を簡潔にご説明いただけますか?
IEEEインテリジェントシステム評議会での最近の講演では、自動運転車分野での可能性が示唆されていました。神経記号AIが現行技術を向上させる理由は?】
神経記号AIによって実現される自律システムは、安全に動作し、意図した通りに機能します。例えば、非常に大規模な企業では、物流センターにおけるロボット群の性能、信頼性、安全性を高めるために神経記号AIを活用しています。空間的な問題、例えば物品を拾う最適な場所や置く最適な場所を判断するには記号推論を用い、画像の分類を含む知覚タスクを処理するにはニューラルネットワークを活用しています。
【ニューロシンボリックAIを実現する上で最大の技術的課題は何でしょうか?】
ニューロシンボリックAIを実現する上での最大の技術的課題は、ニューラルネットワークと記号推論をどのように統合するかです。研究者たちはこれまで、システムを順次実行する(直列)、並列に実行する(並列)、シンボリックエンジン内にニューラルコンポーネントを配置する、あるいはニューラルネットワーク内にシンボリックエンジンを組み込むなど、複数の統合方法を試みてきました。しかしながら、最適な統合手法は未だ確立されていません。
■IEEEについて
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電機・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,800を超える国際会議を開催しています。
詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。
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