鹿児島三島竹島の竹けん玉と大名筍が、シリアとルワンダへ
配信日時: 2025-11-20 06:40:01
ちいさなHEROたちがつくる「未来の架け橋教材」が世界を平和に
【なかよし学園「世界とつながる学び」フィードバック講演会レポート】
2025年11月15日、鹿児島県三島村・三島竹島学園(小中一貫校)で、特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一)による「世界とつながる学び」フィードバック講演会が行われました。
7月の初回講演で世界の現状を知った子どもたちが、「今、自分にできること」として生み出した 竹けん玉・ハマギギョーザ・大名筍 が、シリアとルワンダに届けられ、その様子と現地からの感謝メッセージが、島の子どもたちに“里帰り”する形で共有されました。
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ルワンダからの感謝のお手紙に喜ぶ三島竹島学園
竹のけん玉と島グルメが「未来の架け橋教材」に
三島竹島学園では、7月の「世界とつながる学び」講演会をきっかけに、総合学習やアントレプレナー教育で取り組んできた島の実践を、世界とつなげる一歩を踏み出しました。
・島の竹を使った 手づくり竹けん玉
・島に自生するハマギを使った ハマギギョーザ
・名産の 大名筍 を活かした食のプロジェクト
これらを、なかよし学園が提唱する 「未来の架け橋教材(Future Bridge Learning Kit)」 として預かり、シリアやルワンダの教育・食支援の現場で活用しました。
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島の竹を使ったけん玉を作成
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島の名物「大名筍」
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世界の現状を知る講演会の様子
今回のフィードバック講演では、
「自分たちの遊びや食文化が、遠い国の“学び”と“命を支える一助”になっている」
という事実が、写真・動画・手紙を通じて児童生徒に伝えられました。
戦後0年のシリアと、ルワンダの教室で起きていたこと
講演ではまず、三島竹島から海を渡った教材が、どのような場所で使われたのかが丁寧に紹介されました。
・シリア
14年にわたる内戦がようやく終結し、「戦後0年」のいま、瓦礫の残る街で再建と和解のプロセスが始まっていること。
その中で、日本語を学ぶアレッポ大学の学生たちが、竹けん玉を題材に
「日本人のクリエイティブな発想は、おもちゃづくりからも感じられる」
と語り、授業で「日本の遊び×平和づくり」をテーマに活動したこと。
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戦後0年のシリアの様子
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シリア・アレッポ大学で活用されたけん玉
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シリア・アレッポ大学で活用されたけん玉
・ルワンダ
ジェノサイド(大虐殺)から30年あまり。「二度と同じ過ちをくり返さない」という誓いのもと、教育や和解に力を入れている国であること。
その教室で、「日本のお友達からプレゼントされたおもちゃ」として竹けん玉が紹介され、子どもたちが笑顔で遊びながら、
「遠い国にも自分たちのことを想ってくれる同世代がいる」
と感じていたこと。
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ルワンダに届いた竹島のけん玉
また、大名筍は、シリア・ルワンダともに 煮物として提供 されました。現地には筍を食べる習慣があまりなく、
「初めての食材として、食料危機や飢餓の課題を考える“食育教材”になった」
ことも紹介されました。
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ルワンダのジェノサイドサバイバー達と大名筍を囲むなかよし学園メンバー達
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大名筍の煮物はシリアで好評だった
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大名筍の煮物はシリアで好評だった
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初めての筍料理を楽しむルワンダの人々
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初めての煮物に挑戦するルワンダのパートナー
さらに、三島竹島学園のアントレプレナー教育で生まれた「ハマギギョーザ」は、島に自生するハマギを使った“島オリジナル”の一品としてルワンダへ届けられました。およそ1万2千kmの距離を海を越えて運ばれたギョーザは、現地では温かい料理として提供され、子どもたちやジェノサイドを生き延びたサバイバーの人々に「こんなにおいしい料理が、日本の仲間から届くなんて」と大きな感動と笑顔をもたらしました。ルワンダの悲しい歴史と、そこから立ち上がろうとする現在の姿を紹介しながら、「島で育った食の知恵とやさしさが、遠い国の心と暮らしを支える力になる」というメッセージが、子どもたちにもはっきりと伝わる時間となりました。
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12000kmの海を超えた「ハマギギョーザ」がルワンダで笑顔をつくる
「僕たちがHEROになれた」――子どもと先生の声
現地の子どもたちの笑顔の写真や、「平和」の文字と家の絵が描かれた手紙が映し出されると、教室は静まり返り、やがて小さなどよめきが広がりました。自分たちが心を込めて送ったものは世界の片隅に暮らす「人」に届きます。そしてその「人」は感動した想いを竹島の子ども達に伝えたいと筆を取ります。その往還をなかよし学園はつないでいます。
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シリア、ルワンダからの手紙を紹介する中村雄一代表
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手紙は学校に手渡され、生徒児童のもとに届いた
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講演には地域の方々も参加し、島ぐるみで世界と繋がった
吉海 直 先生(教諭)のコメント
「実際に自分たちが作ったものが外国に届けられ、笑顔で遊んでいたり、食べてもらっている様子を見て、『世界のために何かできた』という実感が子どもたちの中に生まれました。普段の学習や活動が平和につながるんだと、価値づけをしてもらえたと思います。子どもたちはずっと『どうなった?どうなった?』とフィードバックを楽しみにしていて、現地の反応が戻ってくることが、当事者意識を育てるうえでどれほど大切か、あらためて感じました。」
現地から届いた手紙には、「平和」の文字と一緒に「家」が描かれていました。
「家があること」を当たり前としてきた島の子どもたちは、その絵を見てハッとします。
「自分たちが“普通”だと思っている暮らしは、世界では決して当たり前ではない」
という気づきが、教室の空気を変えました。
生徒児童の声(一部)
「僕たちがHEROになれたと思って、すごく嬉しくなった」
「みんなが喜んでくれて、作った甲斐があった」
「ニュースで見る世界のことを、身近に感じられた。その人たちのことを考えたり祈ったりできるのが嬉しかった」
NPO法人みしまですよ理事長・山崎晋作山崎 晋作 さんのコメント
「世界のことはいつもテレビの向こう側で、現実味がありませんでした。
でも今回の取り組みを通じて、『今を同じように生きている人たちと、ちゃんとつながっている』と感じられました。
世界を平和にするのは特別な人だけ、と思いがちですが、
ふだん自分たちがやっていることが平和につながると気づけたのは、とても大きいです。」
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三島竹島の名物大名筍を使った豚みそ。次はこの「味」が世界を平和にする
CoRe Loopと「ちいさなHERO」が生まれる島ぐるみの学び
なかよし学園が全国50校超で展開する「世界とつながる学び」は、
CoRe Loop(Co-create & Return Loop)
――つくる → 届ける → 共創する → 還る → 拡張する――
という往還設計でつくられています。
三島竹島学園の取り組みは、その象徴的な一例です。
・島の竹・ハマギ・大名筍を活かした探究・アントレ教育で「つくる」
・それを難民・紛争・貧困など課題を抱える国々へ「届ける」
・現地の授業や食育プログラムの中で一緒に遊び・学びながら「共創する」
・写真や動画、手紙として反応が「還る」
・子ども・先生・地域がその経験を次の挑戦へ「拡張」する
この循環の中で、島の子どもたちは
「特別な誰かではなく、自分たちでも平和づくりに関われる」
ことを体で学び、“ちいさなHERO”としての自分 を見つけていきます。
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ワークショップ「世界のお友達に手紙を送ろう」を行うなかよし学園
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世界のどんな人に届くかの説明を受ける生徒児童たち
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ICTを使って世界に「届く」お手紙を書く
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それぞれの学びや「好き」を表現したお手紙が完成
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地域の方も一緒にお手紙を作成する
竹島の未来を編む人 ― 山崎晋作さんと「GO!MISHIMA」
鹿児島県三島村・竹島は、人口およそ50人の小さな離島です。目の前には伊勢海老が育つ豊かな海、山にはアク抜き不要で極上といわれる「大名筍」、そして“長命草”とも呼ばれる島の宝「ハマギ(ボタンボウフウ)」が自生しています。こうした島の資源と暮らしを未来につなごうと動いている一人が、オンラインストア「GO!MISHIMA」を運営する山崎晋作さんです。
山崎さんは、大名筍や「は!と美味しいハマギギョーザ」、さらに伊勢海老を使った“イセエビファンディング”など、島ならではの商品を企画・販売し、その売上を公園づくりなど次世代のためのプロジェクトの資金に充てています。島の子どもたちが関わるハマギプロジェクトや加工品づくりは、竹島の暮らしそのものを「宝物」として見直し、外の世界と分かち合う試みでもあります。離島創生の現場で山崎さんが育てているのは、商品だけではなく、「小さな島からでも世界とつながり、誰かの未来を良くできる」という実感なのです。
GO!MISHIMAホームページ
https://go-mishima.stores.jp
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島で竹の家を営む山崎さん
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山崎さんは島の全てを知る案内人。ハマギについてレクチャーを受ける
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島には自然にあふれたスポットがたくさん
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豊かな海で釣りを楽しむ中村代表。海の豊かさを実感する
次の一歩:大名筍「豚味噌」で、世界と島の未来をつなぐ
三島竹島学園では、今後 大名筍を使った「豚味噌」 を、なかよし学園が12月から行う海外活動に実装する計画です。
竹けん玉:遊びを通した平和・文化交流の教材
ハマギギョーザ・大名筍・豚味噌:食を通した命と暮らしを支える教材
生徒児童たちが作成したお手紙
として、「未来の架け橋教材(Future Bridge Learning Kit)」のラインナップがさらに広がっていきます。
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生徒児童たちが書いた「PEACE LETTER」が世界に届く
三島竹島から生まれたちいさな一歩は、
“海の向こうに生きる誰か”と、“島で生きる自分たち”を一本の線で結ぶ、確かな平和教育のモデルになりつつあります。なかよし学園は、これからも島の子どもたち・先生・地域とともに、三島竹島発の小さなHEROたちが世界で活躍できるよう、伴走していきます。
【プロジェクトについて】
本取り組みは、経済産業省「探究・校務改革支援補助金」に採択された「世界とつながる学びプロジェクト」の一環です。全国50校超の子どもたちが、なかよし学園の往還型モデル「CoRe Loop(つくる→届ける→共創→還る)」を通して、自分たちの探究や作品を世界の平和づくりに生かす実践を進めています。
【お問い合わせ】
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
事務局・広報 中村 里英
TEL:047-704-9844 FAX:047-704-9844
E-mail:nakayoshigakuen.office@gmail.com
URL:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html
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