9月の食品値上げ、2067品目 2カ月連続で前年比減 値上げ機運「鈍化」

プレスリリース発表元企業:TDB

配信日時: 2023-08-31 09:01:22

「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2023年9月

帝国データバンクは、食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を行った。



<調査結果(要旨)>
9月の値上げ、アイスや餅など2067品目 2カ月連続で前年から減少

9月は「調味料」が最多の1257品目、3カ月ぶり1000品目超え みそ・しょうゆなど対象


※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む
※対象期間:8月31日9時時点
※調査機関:株式会社帝国データバンク


9月の値上げ、アイスや餅など2067品目 2カ月連続で前年から減少
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/727/resize/d43465-727-a40c0fd696a5bdc552e8-0.jpg ]

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした9月の飲食料品値上げは、合計で2067品目となった。前年9月(2920品目)から853品目減・7割の水準にとどまったほか、値上げが本格化した22年以降、初めて2カ月連続で前年同月を下回った。22年9月に値上げされた食品のうち、約半数を占めた肉製品やバター・マーガリンなど油脂製品、魚介缶詰製品などでまとまった値上げが見送られたことが主な要因となった。一方で、スパイス製品やアイス・氷菓類などは再値上げが実施されるほか、鏡餅や切り餅などコメ加工食品、みそ・しょうゆなどが9月に値上げ予定で、値上げ食品のジャンルは前年同月に比べてより範囲が広がった。
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/727/resize/d43465-727-ff9c0998b2d68caa80b7-0.jpg ]

2023年通年の値上げ品目数は、既に実施されたものや今後予定するものを含め、累計で3万1036品目となった。22年通年の2万5768品目を既に上回り、年間累計としてはバブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなっている。ただ、8月末時点の判明分としては10月の値上げ(4533品目)が前年に比べ約6割の水準にとどまるほか、11月の値上げも前年より大幅に少なく、8月以降4カ月連続で前年同月を下回るとみられる。

年内の値上げは、急激に値上がりした前年の原材料価格の上昇分を販売価格に反映できた企業が増えていることから10月を最後に一旦ピークアウトし、最大で22年比1万品目増の3万5000品目にとどまるとみられる。


9月は「調味料」が最多の1257品目、3カ月ぶり1000品目超え みそ・しょうゆなど対象
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/727/resize/d43465-727-265270b96b19dec6f2f5-0.jpg ]

2023年9月の値上げは、「調味料」(1257品目)が全食品分野で最多だった。みそ・しょうゆ、だし関連製品などが値上げ対象となる。「加工食品」(490品目)は、チルド・冷凍食品や乾麺製品、肉製品などが中心だった。「菓子」(206品目)は、柿の種やチョコレート菓子、アメ、マルチタイプの氷菓製品など幅広い品目にわたった。
2023年通年では、「加工食品」(1万1772品目)が全食品分野で唯一1万品目を超えたほか、輸入小麦粉や生乳、粗糖、チョコレートの原料となるカカオ豆などの原材料価格が上昇したことが影響した「菓子」(2197品目)の値上げが目立つ。

[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/727/resize/d43465-727-987db5b1080107951f00-0.jpg ]


高い上昇率が続く食品の値上げに対して消費者の購買力が低下する「値上げ疲れ」が、食品の売り上げに影響を及ぼし始めている。食品スーパーなどでは低価格商品やプライベートブランド(PB)へ人気が集中するほか、1人当たりの購入個数が減少するといった消費行動の変化が顕在化している。食品メーカーでも値上げ後に売れ行きが伸び悩むケースがあるほか、値上げの浸透で収益がある程度改善し、原材料価格も一服してきたことから値上げ機運は後退の気配もみられる。そのため、年内の値上げは10月以降、前年に比べて大幅に減少する可能性が高い。

ただ、原材料価格の下落を理由とした「値下げ」は僅かにとどまり、食品価格は高止まりの状態が続く。原油・ガソリン価格の上昇を背景に物流費やプラ製包装資材などではコスト増が続くほか、不透明な電気・ガス代の動向、1ドル=140円台の円安水準が長期化していることで輸入品価格の上昇も今後想定され、24年以降に値上げが持ち越される可能性もある。

PR TIMESプレスリリース詳細へ