「日本企業の財務報告不正に関する研究」経営学部 中島真澄教授の論文が米国ジャーナルに掲載

プレスリリース発表元企業:文京学院大学

配信日時: 2021-06-29 15:00:20

~「不正のトライアングル理論は、不正の財務諸表を説明可能か?」~

 文京学院大学(学長:櫻井隆)経営学部 中島真澄教授の論文“Can the Fraud Triangle Explain Fraudulent Financial Statements? Evidence from Japan”(不正のトライアングル理論は、不正の財務諸表を説明可能か?)が、2021年6月に発表された米国ジャーナル「Journal of Forensic and Investigative Accounting Volume13」に掲載されたことをお知らせします。




「Journal of Forensic and Investigative Accounting」掲載論文の内容について

 経営学部 中島真澄教授の論文“Can the Fraud Triangle Explain Fraudulent Financial Statements? Evidence from Japan”(不正のトライアングル理論は、不正の財務諸表を説明可能か?)が、2021年6月に発表された米国ジャーナル「Journal of Forensic and Investigative Accounting Volume13」に掲載されました。(https://www.nacva.com/jfia-current
 今回は、2017年の国際学会International Conference on Innovation in Business Strategy 2017 (Bali, Indonesia)において最優秀論文賞(Best Paper Award)を受賞した論文が掲載となりました。

<経営学部 中島真澄教授のコメントと論文要約>

[画像: https://prtimes.jp/i/35644/121/resize/d35644-121-859495-0.jpg ]

 本研究は、日本における不正の財務報告に関与した企業(不正企業)およびそのペアサンプル(非不正企業)を用いて、不正のトライアングル理論に基づく要因が不正な財務報告の原因となっているかどうかを検証したものです。第1に、単変量解析の結果、不正のトライアングル理論の3つのファクターであるインセンティブ/プレッシャー、機会、合理化はともに、不正企業と非不正企業間で有意差があることが示されました。第2に、ロジスティック回帰分析の結果、インセンティブ/プレッシャー、機会、合理化の3つの要因すべてが、不正な財務諸表と有意に関連していることが示唆されました。すなわち、インセンティブ/プレッシャーとしての総資産利益率(ROA)と負債比率、機会としての取締役会や社外取締役などのガバナンス、合理化としての会計発生高および意見付無限定監査報告書が不正な財務報告に影響を与えていることが明らかとなりました。これらの結果から、会計発生高および意見付無限定監査報告書が、会計不正の予測に有用となる可能性を提示することができました。


中島教授のこれまでの功績

 2019年、中島真澄教授の論文“Survey Research on Earnings Quality: Evidence from Japan(日本企業における利益の質に関するサーベイ調査)”は、米国会計学会誌「Research on Professional Responsibility and Ethics in Accounting」(年1回公刊)に掲載されました。当該研究は、日本の上場企業の最高財務責任者(CFO)を対象にサーベイ調査を実施し、利益の質および利益の裁量行動に関する経営者の意識を明らかにしたものです。2020年には、このサーベイ調査回答結果に基づいて、構造方程式モデルを用いて経営者の倫理的価値観およびインセンティブ/プレッシャーが利益の質に影響を与えるかどうかを検証した研究を台湾会計学会で報告しました。なお、これらの研究は、科研費(19K02000「経営者の裁量行動と会計不正に関する理論と実証の融合的研究」)の助成を受けて行ったものです。

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