【どう見るこの株】トーメンデバイス、純利益5.3倍でも株価は高値から45%安、AIメモリ特需の持続力を探る

2026年11月2日 12:32

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■売上高7858億円、メモリ比率95.9%、通期予想据え置きと利益率低下が焦点

 トーメンデバイス<2737>(東証プライム)は10月28日、2027年3月期中間決算(4~9月)を発表した。売上高は前年同期比223.3%増の7858億4000万円、営業利益は同359.6%増の375億4200万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同425.5%増の251億1400万円となった。純利益は前年同期の5.3倍に拡大したものの、株価は9月の年初来高値から45%超下落している。AIデータセンター向けを中心とするメモリ需要の拡大と販売価格の上昇が業績を押し上げる一方、株式市場では今後の成長持続力が問われている。

 同社は韓国サムスングループの半導体製品などを主力とする専門商社で、中間期の売上高に占めるメモリ製品の構成比は95.9%に達した。DRAMとNAND型フラッシュメモリの比率はほぼ半々で、DRAMがやや多い。用途別では、サーバー・ストレージを含む情報機器向けが4624億円、車載向けが1673億円となり、それぞれ前年同期比241.7%増、485.8%増と急拡大した。ただし、売上高の増加にはメモリ価格上昇の影響も大きく、販売数量の伸びだけで好業績を説明することはできない。

■第2四半期は利益率が低下、在庫増加と借入負担にも注意

 注目すべきは、四半期ごとの収益性の変化である。4~6月期の営業利益222億8200万円に対し、7~9月期は152億6000万円に減少した。売上高は両四半期とも3900億円台で推移したものの、営業利益率は約5.6%から約3.9%に低下。会社側はメモリ価格の上昇幅が縮小したことを要因に挙げている。価格上昇が続いても、その勢いが鈍れば利益率が低下するという、半導体メモリ商社特有の収益構造が浮き彫りになった。

 財務面にも変化が表れている。商品在庫は第1四半期末から約1100億円増加し、中間期末には3328億2500万円となった。仕入価格の上昇と供給量確保が主因で、短期・長期借入金も増加。自己資本比率は前期末の17.2%から14.0%に低下した。中間期の支払利息も前年同期の8億5200万円から25億6100万円へ拡大している。メモリ市況が反転した場合には、在庫評価への影響に加え、資金調達負担の増大にも警戒が必要となる。

 2027年3月期通期予想は、売上高1兆4000億円、営業利益489億円、純利益300億円、年間配当1640円で据え置いた。中間期純利益の通期予想に対する進捗率は83.7%に達し、通期予想から差し引いた下期純利益は約48億9000万円となる。会社側は下期も生成AI関連需要が継続するとみる一方、メモリ価格については小幅上昇後の高止まりを想定。顧客の先行購入による在庫積み増しや、価格上昇に伴う買い控えの可能性も指摘しており、高い進捗率がそのまま上方修正につながるとは限らない。

■AI推論分野へ事業拡大、メモリ依存からの脱却を模索

 一方、次の成長分野として注目されるのがAI推論関連事業である。同社は韓国RebellionsのAI推論向けアクセラレータを搭載したサーバーを国内に設置し、トゥモロー・ネットとの協業による実証環境の提供を開始した。また、韓国MobilintのエッジAI推論向けNPUについても、顧客への提案や評価を進めている。AI推論は学習済みの人工知能を実際の業務や製品で動かす処理で、消費電力や運用コストの削減が重要な課題となる。新たな商材の採用が広がれば収益源の多様化につながるが、現段階ではメモリ事業との規模の差が大きく、今後の事業化の進展を見極める必要がある。

■株価分析:PER約5.5倍、配当利回り6.8%でも慎重な評価が必要

 10月30日の終値は2万4050円で、9月28日の年初来高値4万4200円から約45.6%下落した。会社予想の1株利益4411円22銭を基準としたPERは約5.5倍、予想配当利回りは約6.8%、中間期末の1株純資産を基準としたPBRは約2.0倍となる。利益水準からは割安感が意識されやすいが、予想配当1640円は業績連動型であり、将来も同水準が維持されるとは限らない。目先は2万4000円前後での株価の落ち着きが焦点となるが、評価の本質はメモリ価格の高止まりがどこまで利益を支えるかにある。次の決算では利益率の推移、在庫水準、借入負担に加え、AI推論関連事業の進展を確認したい。AI需要の拡大という成長機会と、メモリ市況に左右される収益変動リスクの両面から見極める局面である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。