【マーケットセンサー】好決算でも売られるAI株――「利益」から「投資回収力」へ変わる市場の評価基準

2026年10月29日 08:29

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(日本インタビュ新聞社・編集部)

■コアウィーブの社債安とメタの現金収支悪化、巨額AI投資の回収力が新たな焦点

 「好業績は七難隠す」。決算期の株式市場で通用してきた経験則が、AI(人工知能)関連株で揺らいでいる。売上高が伸びても株価は下がり、増益見通しを示しても評価が定まらない。AI需要の拡大だけでなく、巨額投資がいつ現金収入に結び付くのか。投資家の視線は成長率から資金回収の確実性へと広がっている。

 象徴的なのが米AIクラウド事業者コアウィーブの社債安だ。6月に利回り9.675%で発行された社債は、10月中旬の価格下落で利回りが15%近辺まで上昇した。既発債の利回り上昇は新規借入金利が直ちに同水準になることを意味しない。それでも、借入資金でデータセンターを拡張する企業に、債券市場が厳しい採算性を求め始めたことを示す。同社の4~6月期売上高は前年同期の約2.1倍に伸びたが、最終損益は赤字で、純支払利息は6億4000万ドルに達した。

■売上成長と現金創出力は別物、メタの決算が示す現実

 メタ・プラットフォームズの10月21日発表の7~9月期決算も示唆的だ。売上高は前年同期比26%増の646億100万ドル。一方、ファイナンスリースの元本返済を含む設備投資は349億1000万ドルに達し、フリーキャッシュフローは21億2000万ドルのマイナスとなった。営業利益は同37%減だったが、約99億ドルの訴訟関連費用が含まれる。基礎的な収益力と一時費用、AI投資に伴う資金流出を分けて読む必要がある。決算翌日の22日には株価が下落し、信用リスク指標も悪化した。

 ここで重要なのは、AI設備を「売る側」と「使う側」の時間差だ。半導体や製造装置の供給企業には、設備投資の増加が受注・売上高となる。他方、導入企業には減価償却、電力費、金利負担が生じ、利用料金などで投資を回収するには時間がかかる。売上高の拡大と現金創出力の向上は、必ずしも同時に起こらない。

■アドバンテストは上方修正、次の焦点は投資継続力

 この違いは日本の決算にも表れる。アドバンテスト<6857>(東証プライム)が28日に発表した2027年3月期中間決算は、売上高が前年同期比60.5%増、営業利益が96.5%増。AI向け高性能半導体の検査需要を背景に、通期営業利益予想を9670億円へ上方修正した。供給側の好調が鮮明となる一方、顧客の資金負担が増せば発注ペースが変わる可能性もある。30日に決算発表予定の東京エレクトロン<8035>(東証プライム)とキオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)でも、利益に加えて需要見通しと投資計画が焦点となる。

 米国では28日にマイクロソフトとアルファベット、29日にアマゾンが決算を発表する予定だ。日本時間ではそれぞれ29日、30日の朝に内容が伝わる見込みである。米連邦公開市場委員会(FOMC)は米国時間28日に結果を公表し、日銀は29~30日に金融政策決定会合を開く。金利低下が成長株を支える場面はあるが、国債利回りが下がっても信用不安の強い企業の社債利回りが同様に下がるとは限らない。金利と信用スプレッド、キャッシュフローを併せて見極める局面である。

 AI市場の拡大が止まると断定するのは早い。ただ、「好業績は七難隠す」だけで株価を説明できる時代ではない。次に問われるのは、投資を回収し、継続的に現金を生み出せるか。半導体株の反発が続くかどうかも、決算書の利益欄だけでなく、設備を買う企業の資金の流れが左右する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・編集部)

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