仏Ifremer、水深6000m対応の「Argo Deep-6000」試作機を実海域で運用

2026年9月24日 12:16

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記事提供元:Tech Times

(Ifremer, Guillaume LE PROVOST)

(Ifremer, Guillaume LE PROVOST)[写真拡大]

フランス国立海洋開発研究所(Ifremer)が開発した自律型海洋観測フロート「Argo Deep-6000」の試作機2基が、アンティル諸島北方の外洋で水深6000mへの潜航に成功した。2基は2026年1月11日の投入後、それぞれ5回の観測サイクルを完了し、深海の温度、塩分、溶存酸素、圧力に関するデータを衛星経由で陸上へ送信した。

Ifremerは2028年までに同型機30基を配備する計画で、主に北大西洋で運用する予定だ。観測可能な深度を6000mまで広げることで、海洋全体の体積の98%超に相当する深度範囲をArgoによる観測対象にできるとしている。

■水深6000mへ広がるArgo観測

Argoは、自律型フロートを世界の海洋に展開し、温度や塩分などを継続的に測定する国際海洋観測プログラムである。2000年に始まり、約4000基のフロートが稼働している。収集されたデータは無償で公開され、海洋循環や海洋熱含量、海面水位、気候変動の研究などに利用されている。

標準的なArgoフロートの観測深度は水深2000mまでであり、Deep Argoでは観測範囲を4000~6000mへ広げる取り組みが進められている。深海まで系統的に観測することは、海洋に蓄積される熱や淡水の収支、海底付近まで及ぶ大規模な海洋循環を把握するうえで重要になる。

Ifremerによると、海洋温暖化全体の約10%は水深2000m以深で生じている。限られた観測からは、南大洋の水深4000m以深にも明瞭な昇温傾向があり、その影響が太平洋、大西洋、インド洋の深層へ広がり始めていることが示されているという。

深海の温度変化を継続的に測定できれば、温暖化が時間的、空間的にどのように広がるかを把握しやすくなる。深層での熱や炭素の輸送、深海の変化が海面上昇に及ぼす影響を評価し、海洋予測モデルを改善するためのデータにもなる。

■2基がそれぞれ5回の潜航を完了

試作機2基は2026年1月11日、科学調査航海を支援するOCEOPSが運航する帆船から、アンティル諸島の北方にある海溝上へ投入された。各フロートは水深6000mまで自律的に潜航した後、海面へ戻り、取得したデータを衛星通信で陸上の研究チームへ送信した。

Ifremerが2月2日に発表した時点で、2基はそれぞれ5回、合計10回の完全な観測サイクルを終えていた。同研究所によると、フランスは米国、中国に続き、水深6000mまで観測できるArgoフロートを設計した3番目の国となった。

Argo Deep-6000は約10日間を1サイクルとして、潜航、漂流、観測、浮上、データ送信を繰り返す。温度、塩分、溶存酸素、圧力を測定し、従来は観測例が限られていた深海の状態を継続的に記録する。

■高水圧と長期運用に対応

水圧は深さが約10m増すごとに約1気圧上昇するため、水深6000mではおよそ600気圧に達する。Argo Deep-6000の開発では、この高水圧に耐えながら、浮上と潜航を繰り返し、長期間にわたって自律運用できる構造が求められた。

Ifremerは耐圧部の材料としてチタンではなく複合材料を採用した。1基の重量は40kgで、従来型フロートの約20kgに対しておよそ2倍となる。目標とする運用期間は7年間で、耐圧性、エネルギー自立性、製造コストの両立が主要な技術課題だった。

試作機はIfremerの研究・技術開発部門が、フランスの海洋計測機器会社nke Instrumentationの協力を得て開発した。同社は電子システムとソフトウェアも担当しており、今後は量産を担う予定である。

■2028年までに30基を配備

Ifremerは2028年までに、フランスが運用する水深6000m対応フロートを30基へ増やす計画だ。主な配備先は北大西洋で、水深2000mまたは4000mまで観測できる既存のフランス運用機約270基を補完する。

Ifremerの2026年2月時点の発表では、米国は水深6000m対応のArgoフロートを100基超、中国は約30基運用している。フランスの30基が加わることで、国際的なDeep Argo観測網の拡充が進むことになる。

30基の取得には、IfremerのPIANOプロジェクトと、フランス政府の研究設備支援を受けるArgo-2030プロジェクトの資金が使われる。取得データはフランスにあるArgoの全球データ集約拠点の一つで処理・保存され、国際的な研究や海洋予測に利用できる形で公開される。

Argo Deep-6000によって観測可能になるのは、海洋体積の98%超に相当する深度範囲である。30基だけで世界の海を面的に網羅するという意味ではないが、各国によるDeep Argoの配備が進めば、これまで観測が限られていた深海の温暖化や循環を継続的に把握する基盤が整っていく。

元記事: New Underwater Drone Floats Aim to Track Ocean Warming at Extreme Depths

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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