『Expedition 33』Switch 2移植の課題:Lumen Liteで一部解決もNaniteの壁は残る

2026年8月3日 10:49

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記事提供元:Tech Times

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『Clair Obscur: Expedition 33』の開発元はNintendo Switch 2への移植に関心を示しているが、Unreal Engine 5の機能に起因する大きな技術的課題が残されている。照明システム「Lumen」には負荷を抑える手段が登場したものの、仮想化ジオメトリシステム「Nanite」の問題は未解決だ。現時点で公式なリリース時期は発表されておらず、2026年内の発売をめぐる情報もインサイダーの予測にとどまっている。

■開発元が語る技術的な壁

『Clair Obscur: Expedition 33』の開発元は、同作をNintendo Switch 2へ移植することに関心を示している。しかし、率直なインタビューからは、その「関心がある」という言葉だけでは移植の実現性を判断できないことが明らかになった。2025年のGame of the Yearに輝いた同作を任天堂のコンソールに移植するうえでは、2つの具体的なエンジニアリング上の問題が立ちはだかっており、既知の解決策があるのはそのうちの1つだけだ。

Automaton Mediaとの対話の中で、Sandfall Interactiveの共同創設者兼CTOであるTom Guillermin氏は、この障害について率直に説明している。「本作では美しいビジュアルを実現しようとしたため、大きな技術的課題となっている。当然ながら、Switch 2はPlayStationやXbox Series Xほど高性能ではない。特にスタジオの規模を考えると、これは慎重に検討すべき重要な問題だ」。また、CEOのGuillaume Broche氏も「実現する方法を探ることには関心がある」と認めたものの、何かを発表するには時期尚早だと語った。

ここでの技術的な障壁は曖昧なものではない。Sandfallが同作のビジュアルを実現するために使用したUnreal Engine 5(UE5)のレンダリングパイプラインに含まれる特定の機能が原因であり、これらは設計上、Switch 2が提供できる以上のGPU演算性能を必要とする。

■ビジュアルを支えるLumenとNaniteの負荷

同作は、UE5の中でも特に負荷の高い2つのシステム、「Lumen」と「Nanite」を使用して開発された。LumenはUE5の動的グローバルイルミネーションシステムであり、光が表面に反射して周囲を照らす過程をリアルタイムで計算する。事前計算したライトマップを不要にし、同作の雰囲気に富んだ絵画的な表現を支えている。一方、NaniteはUE5の仮想化ジオメトリエンジンであり、メッシュの形状を三角形のクラスターに分割し、画面上での距離に応じて描画する詳細度を動的に調整する。これにより、本来ならアーティストが数週間をかけて手作業で最適化しなければならないような環境を描画できる。

現在のハードウェアで両方のシステムを使用するということは、実質的に、同作が約10.28 TFLOPSの演算性能を持つPS5およびXbox Series XクラスのGPUを前提に開発されたことを意味する。これに対し、Nintendo Switch 2のT239チップは、ドックモードで約3.07 TFLOPS、携帯モードで約1.71 TFLOPSの性能とされる。ドックモードでは3倍超、携帯モードでは6倍超の開きがある。この演算性能で完全版のLumenとNaniteを動かすことは、単なる設定調整の問題ではなく、ハードウェアとレンダリング構成の構造的なミスマッチである。

Broche氏がAutomaton Mediaのインタビューで「多くの機能がSwitch 2では動作しない」と語った通りだ。

■Lumen Liteによる照明問題の改善

照明側の課題に道筋が見えたのは、2026年6月にシカゴで開催された「State of Unreal」で、Epic GamesがUnreal Engine 5.8をリリースしたときだ。このアップデートでは、完全なリアルタイムレイトレーシングの代わりに、プローブオクルージョンを組み合わせた放射照度フィールドを使用する新モード「Lumen Lite」が導入された。この方式は、Lumen High Qualityの2倍の速度で動作する。Epic Gamesのエンジニアリング担当バイスプレジデントであるSimon Tourangeau氏は同イベントで、「Lumen Liteは、GPUコストを大幅に抑えながら、視覚的なインパクトの多くを維持するよう設計されている。Lumen High Qualityの2倍高速であるため、芸術表現のためにグローバルイルミネーションを利用するゲームをNintendo Switch 2上で60fps動作させられる」と述べている。

リードキャラクターアーティストのAlan Reynaud氏はAutomaton Mediaのインタビューで、Sandfallが特にLumen Liteに注目していることを明らかにした。「現在、標準のLumenより動かしやすいLumen Liteのような機能が導入されつつある。ただし、こうした機能が普及するには時間がかかるため、Unreal Engineの今後のアップデートを見ながら、どうするかを判断する必要がある」とReynaud氏はNintendo Wireに語っている。

ただし、これは移植の確約ではない。Sandfall自身の判断だけで決められる話ではなく、Epic Gamesのロードマップ次第という条件付きの見通しだ。

■未解決のNanite問題と小規模スタジオの決断

Lumen Liteだけですべてが解決するわけではない。ゲーム内の高密度な環境表現を処理するジオメトリシステム「Nanite」は、別個の未解決な制約として残っている。

UE5のNaniteシステムは現在、モバイルクラスのチップセット上では効率的に動作しない。この制約が『Expedition 33』だけの問題ではなく、業界に共通する問題であることは、Grove Street GamesのCEOであるThomas Williamson氏も指摘している。同社が新作怪獣ゲーム『BeastLink』のSwitch 2版を検討した際にも同じ障壁があり、Williamson氏はTechTimesに対し、「Unreal Engine 5のNaniteジオメトリシステムは、現在のところモバイルチップセットではうまく動作しない。おそらくUnreal Engine 5の最後の大規模アップデートになるUE5.8でも、この問題は解決されないとみられる」と語っている。Epic Games自身もLumen Liteの発表で、Lumenに関する取り組みが「同プラットフォーム向けのさらなるNanite最適化を進めるうえですでに役立っている」と説明している。これは、Naniteの最適化が完了したのではなく、現在も進行中であることを示している。

実際に移植を進める場合、Sandfallのチームは照明とジオメトリの問題にそれぞれ対処しなければならない。Lumen Liteは照明という最初の問題に、現実的な解決への道筋を示す。一方、Naniteについては、UE5.8では実現しない可能性があるエンジンレベルの改善を待つか、照明モードの切り替えよりはるかに大掛かりな形でジオメトリの描画方式を再構築する必要がある。

Broche氏の「UE5の多くの機能がSwitch 2では動作しない」という評価には、一般の議論が主にLumenへ集中しているとしても、LumenとNaniteの両方が含まれている。

エンジンの制約はどのスタジオにとっても複雑な問題だが、Sandfallの場合はスタジオの規模が難しさを増している。同作は外部からの支援を受けつつ、約30人の中核チームによって開発された。元のプロジェクトに携わったプログラマーはわずか4人だった。Automaton MediaのインタビューでSandfallが説明したところによると、この人数で開発できたのは、Unreal Engineのビジュアルスクリプティングシステム「Blueprints」により、デザイナーやテクニカルアーティストが高度なプログラミングの専門知識を持たなくてもゲームロジックを作成できたためだ。スタジオが次回作のプリプロダクションに入った時点で、チームは約26人に縮小しているが、Broche氏は同作業を進めるには「十分すぎる」人数だと説明している。

プリプロダクションに携わるエンジニアを、技術的難度の高い移植作業へ振り向けるかどうかは、この規模のスタジオにとって重大なリソース配分上の判断となる。これは、エンジンそのものに起因する技術的課題とは別に考えなければならない問題だ。

一方、同作の販売実績を考えれば、移植には商業的な魅力がある。パブリッシャーのKepler InteractiveとSandfall Interactiveが発売1周年に明らかにしたところによると、同作は2025年4月24日の発売以来、800万本以上を売り上げている。500を超えるGame of the Year賞を獲得し、『バルダーズ・ゲート3』に続いて、主要5部門のGOTY賞をすべて制した史上2番目のタイトルになった。報道によると、開発予算は1,000万ドル(約15億8,000万円、1ドル=158円換算)未満だったという。Switch 2には移植を商業的に検討するだけの市場がある。問題は、スタジオの規模に見合う形で技術的な解決策を実現できるか、そして市場の関心が保たれている期間内に移植できるかどうかだ。

■リーカーの予測と残る不確実性

Nintendo Wireの報道によると、任天堂関連の発表をめぐる予測実績を持つ業界インサイダーのNateTheHate氏は、『Expedition 33』が2026年末までにSwitch 2へ登場すると2度主張している。同氏の過去の予測には、Switch 2の発表日、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のリメイク、『スターフォックス64』のリメイク、Nintendo Directの開催日、『メタファー:リファンタジオ』のSwitch 2版が含まれる。

NateTheHate氏は2026年1月のポッドキャストで初めてこの主張を行った。同作がNintendo Directに登場せず、一部の人々が予測は外れたと判断した後も、2026年6月15日にXへの投稿で改めて主張した。Games Hubの報道によれば、投稿は「今年SW2に登場する」という簡潔な内容だった。同氏は、その後に正式発表された『メタファー:リファンタジオ』のSwitch 2版についても事前に予測していた。

SandfallとKepler Interactiveは、NateTheHate氏の予測を確認も否定もしておらず、コメントも出していない。発売時期、価格、パフォーマンス目標のいずれも公式には発表されていない。

仮にNateTheHate氏の情報が正確であれば、同氏が把握している可能性があるのは、移植が決定済みで現在開発中かどうかという点だ。一方、Switch 2上でNaniteが現在どの程度動作しているのか、Sandfallがその問題へどう対処する予定なのか、Epic Gamesのロードマップに依存する未解決のエンジン上の問題が移植スケジュールに影響しているのかまでは、必ずしも把握していない可能性がある。

これらは別の問題だ。スタジオが移植を決定した後で、特定の技術的問題が予想以上に難しいと判明することもあれば、前提としていたエンジンのアップデートが制約を完全には解決しないこともある。Automaton Mediaのインタビューでは、SandfallのCTOとCEOがともに、課題を過去の問題ではなく、現在も「動作しない」エンジン機能として説明している。この発言は、移植版がすでに開発中で現実の障害に直面している可能性と、障害が解消されていないため移植作業がまだ正式に始まっていない可能性の、どちらとも矛盾しない。

Switch 2の所有者にとって、現時点での結論は同じだ。確定した発売時期はなく、技術的な難しさも現実に存在する。同作は現在、PS5、Xbox Series X|S、PC向けにSteamおよびEpic Games Storeで販売され、Xbox Game Passでも提供されている。

■注目ポイントQ&A

●『Clair Obscur: Expedition 33』はNintendo Switch 2で発売されますか?

開発元のSandfall Interactiveは「実現する方法を探ることには関心がある」と認めていますが、何かを発表するには時期尚早だとしています。任天堂関連の予測実績を持つインサイダーのNateTheHate氏は、2026年1月と6月に、同作が2026年末までにSwitch 2へ登場すると主張しました。しかし、SandfallやパブリッシャーのKepler Interactiveは、公式な発売時期、価格、パフォーマンス目標を発表していません。

●『Expedition 33』のSwitch 2への移植が技術的に難しい理由は何ですか?

本作は、約10.28 TFLOPSの演算性能を持つPS5およびXbox Series Xクラスのハードウェアを前提とする、GPU負荷の高い2つのUnreal Engine 5システム、Lumen(動的グローバルイルミネーション)とNanite(仮想化ジオメトリ)を中心に構築されています。Switch 2のT239チップはドックモードで約3.07 TFLOPSとされ、3倍を超える性能差があります。この演算性能では、完全版のLumenとNaniteをプレイ可能なフレームレートで動作させることは困難です。2026年6月にUE5.8で導入されたEpic GamesのLumen Liteは、異なるレンダリング方式を採用し、Lumen High Qualityの2倍の速度で動作することで、照明の問題に対する道筋を示しています。しかし、Naniteをモバイルクラスのチップセット上で効率的に動作させる問題は、UE5.8でも完全には解決されていません。

●Switch 2のプレイヤーは現在どうすればよいですか?

『Expedition 33』は現在、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PC向けにSteamおよびEpic Games Storeで提供されています。また、Xbox Game Passの対象にもなっています。別の対応プラットフォームでパッケージ版またはダウンロード版を購入できるのであれば、それが現時点で確認されている唯一のプレイ方法です。任天堂のハードウェアでプレイする方法は、現時点ではありません。

●Unreal Engine 5のゲームは一般的にSwitch 2で動作しますか?

動作するタイトルもあれば、開発中のタイトルもあります。『フォートナイト』はすでにUnreal Engine 5を使用してSwitch 2上で動作しています。また、原文では、2026年8月に発売された『Oblivion Remastered』が、LumenとNaniteを使用するUE5タイトルとして挙げられています。同作は携帯モードでDLSSによるアップスケーリングを利用し、900pを目標としており、PS5版やPC版と比べて解像度を大きく抑えています。比較的軽量なUE5機能だけを使用するゲームは、より容易に移植できる可能性があります。一方、『Expedition 33』のようにLumenとNaniteの両方へ強く依存するゲームは、より根本的なエンジニアリング上の障壁に直面します。

元記事: Expedition 33 Switch 2 Port: Lumen Lite Solves One Problem, Nanite Remains

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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