山崎製パンの創業者:故飯島氏は、新宿中村屋の「商人道」に惹かれた

2025年8月22日 08:41

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 山崎製パン(2212、東証プライム市場)。製パン業界首位。菓子パンを主力にパン市場で、4割のシェアを有する。

 1948年3月、戦後の食糧難のなか故飯島藤十郎氏により設立された。現社長の飯島延浩氏がホームページで、「新宿中村屋の大旦那、相馬愛蔵氏の唱える“商業道”に導かれ“良品廉価・顧客本位”の精神に徹した・・・」としていた。中村屋と山崎製パンの縁・関係を知りたく調べてみた。

 故飯島氏は、16歳で厳父を亡くし旧制中学を中退し中村屋に就職している。相馬愛蔵の私淑を受けキリスト教の洗礼を受けた、と言われるほどだからその“商業道”に惹かれたというのも頷ける。故飯島氏は後に現在の東京学芸大学に学んでいる。学ぶことに前向きな姿勢の持ち主だったことが窺える。

 私の昼食は近場のスーパーの自家製サンドイッチと、メーカー品のスナックサンド。後者は山崎製パンの品と、某大手製パンメーカーのもの。山崎製パン品が置かれた棚は、手を伸ばし易い位置。商品そのものの見た目は殆ど変わらないが、値段は割高。

 一方のメーカー品には「精一杯の抵抗」と言わんばかりに、「・・・・・・」と記されている。判官贔屓?で手にする。時折山崎製パンの品を手にするが、確かに一味違う風を覚える。何故か、が気になっていた。今回、飯島社長のホームページでの話でそのヒントを見出した。こんな風な記述がある。

 「全ての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策・営業戦略、小委員会による“なぜなぜ改善”を行い、常に新しい価値観の創造を追求して社会の負託に応えている。2016年に創業の地:千葉県市川市に竣工した“山崎製パン総合クリエイションセンター”を、品質向上と新製品の開発さらには新規事業の開発に取り組む研究開発と・・・」。

 四季報:材料欄ではこんな風に噛み砕いている。

 「食パンや中華まんは生地品質を向上する新技術活用で好調。他商品へ応用図る」。

 2021年12月期の「3.8%増収、5.3%営業増益」にはじまる前期まで4期間の平均増収率・営業利益率は「4.85%、34.85%」。付加価値体質を示している。配当も22円配が45円配へ。そして今12期は期初予想を早々に上方修正し、「3.9%の増収(1兆2930億円)、10.8%の増益(575億円)、5円増配50円配」計画。

 本稿作成中の株価は3400円台入り口水準、予想税引き後配当利回り1.17%弱。16年初値水準で買い持ち続けていると、修正済み株価パフォーマンスは29%。IFIS目標平均株価は強気・中立拮抗の3671円。判断は各位で・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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