鉄骨・橋梁大手:駒井ハルテックの容易でない収益構造も、新規事業の芽もしっかり育る

2024年3月6日 09:38

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 駒井ハルテック(東証プライム)。中村貴任社長の話を聞く機会を得た。鉄骨・橋梁の大手。超高層建築などにも実績。創業1883年(明治16年)の駒井鉄工と1921年(大正10年)ハルテックの(ともに)鋼材成分メーカー2社が、2010年に合併して生まれた。

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 斯界の老舗企業ゆえに、その実績には唸らされる。橋梁事業でいえば「大田・静間道路静間川橋鋼上部工事」「恋野橋」「県道北九州空港線苅田工区橋梁上部工工事」「国分川橋上部工事」etc、数え出したら枚挙にいとまがない。かつ技術・製品の開発も、ヒットロックK(塗装された既設構造物専用の錆促進剤)など多々。

 鉄骨・鉄塔工事にも、多くの製品が採用されている。「東京都第一本庁舎」「埼玉合同庁舎」「虎ノ門ヒルズ」「JR新宿ミライナタワー」「JPタワー」etc。

 しかし華麗な実績を喜んでいる暇などない。中村社長の口からは、そんなニュアンスの言葉が飛び出す。「受注競争が激しい」「(とりわけ橋梁などは)個別案件ごとに目標売上高・利益率を設定実行し、採算管理の厳格化が求められる」「どんなに差別化のための技術開発を実施しても、受注・売上・利益率向上に寄与しなくては意味がない」・・・

 改めるまでもないだろうが、駒井ハルテックが手掛ける事業は官公庁が主たる発注元。

 受注・請負状況の如何が、利益率を大きく左右してくる。そのことは収益動向に如実に表れる。

 例えば2022年3月期は「2.4%減収も231.0%営業増益」、23年3月期は「34.4%増収も79%営業減益(2億7000万円の損失)」。

 前者の理由は、「鉄骨の受注量は好調。が鋼材価格を始めとする原材料価格が引き続き高水準であることや納期のタイト化も堅調・・・。損益の231.0%増は大型橋梁の竣工による追加変更獲得及び設備投資効果・・・」。後者は、「一部大型鉄骨工事に工期の遅延が生じたことに加え、追加変更の獲得競争に時間を要したことやインフラ環境事業の研究開発費の増加などで・・・」と捉えることが出来る。ちなみに今3月期は「53.3%増収、184.9%営業増益」。

 取材日の終値は2087円。予想税引き後配当利回り2.68%。押し目待ち姿勢で好配当利回り享受も一法だろうが、目を引かれたのは予想PBR。0.32倍。対応策は?という問いかけに中村氏は、「対応策云々よりも、収益向上が大前提」とした。

 取材を終えた時点で、中村氏を「よいしょ」するつもりはないが駒井ハルテックに好意を抱いていた。最大の要因は前記した「インフラ環境事業の研究開発注力」。地域に貢献する陸上中型風車を軸に内外でインフラ環境事業を展開している。未だ収益面での寄与率は低いが前3月期で、「247.1%増収(4億5400万円)」。新たな事業の芽を育てている点を評価したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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