上場1年半余、強気の中計 荷物用エレベーター:守谷輸送機は実は世界的企業

2023年10月17日 08:29

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2023年8月に稼働した新工場「鳥浜製品管理センター」(画像: 守谷エレベーターの発表資料より)

2023年8月に稼働した新工場「鳥浜製品管理センター」(画像: 守谷エレベーターの発表資料より)[写真拡大]

 守谷輸送機工業(東証スタンダード)。2022年3月に上場した「隠れた世界的企業」である。荷物用エレベーター大手で、大型では世界シェアの過半を占める。

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 創業は1949年8月。70年余の歴史を積み重ねている。その存在を知らしめた契機は2003年7月。日本初の大型積載ロープ式エレベーターの開発。またこの年の8月には、船舶用エレベーターの扱いも始めている。

 そうした歴史がなさせるのであろう。上場後初決算の直後に、至27年3月期の中計も発表している。『売上高210億円(22年3月期比51.2%増収)、営業利益26億円(43.0%営業増益)、新設&入替エレベーター着工台数600台(48.5%増)』。

 ホームページなどを確認すると、取引企業などから汎用型でなくオーダーメイドが主力であることが認識できる。それを提案にはじまり設計・開発・製造、据え付け・保守・改修まで一貫して手掛けている。斯界に明るいアナリストは「冷凍・冷蔵倉庫用エレベーターなど、守谷ならではの象徴的エレベーター」と、指摘する。

 実は公開直後の22年3月期決算は、11.0%増収も「57.2%の営業減益、44.0%の最終減益、15円配継続」。最大の要因は、エレベーター用資材の国内調達への切り替えを進めた結果の負担増。守谷輸送機ではどう反応するかは確認していないが、ユーザー側の負担増につながる施策の実施は同社のユーザーに対する「立ち位置」がなせる業と捉えられる。

 そしてこの策が浸透している証しは今期計画に確認できる。「15.4%増収(177億8700万円)、150.8%営業増益(19億5000万円)、105.7%最終増益(13億2000万円)、1円増配16円配」予想。かつ第1四半期は前年同期比「19.5%増収、255.9%営業増益、298.0%最終増益」と、ダッシュしている。

 そんな守谷輸送機の本稿作成中の時価は1300円台入り口。予想税引き後配当利回り1%。年初来安値711円(1月)から徐々に水準を切り上げ8月9日の第1四半期決算を受け、9月7日1472円に。時価は小幅調整場面。

 さてそんな上場1年半余の守谷輸送機の株価と、どう向き合うべきか。「小さく生まれて大きく育とう」とする感を覚える。公開価格810円に対して22年3月17日の初値は、820円。そしてIPO相場を経て地相場入りしたと言える時価は、60%方上値にある。見守る価値あると思う株式市場の新顔だが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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