ニュアンスの微妙な違いを理解! 英語の過去進行形と過去完了進行形

2023年4月30日 07:32

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 以前、何回かにわたって英語の完了形について解説したが、もちろんすべて説明したわけではない。時間を表現する方法には微妙なニュアンスの差異があって、なかなか一筋縄ではいかないのである。

【こちらも】英語の「現在完了形」と「現在完了進行形」の違いとは?

 今回は、これも一見違いがわかりにくい、しかし、ネイティブには確実に違いがわかる過去進行形と過去完了進行形の違いを解説しよう。

■過去進行形の基本

 まず、以下の2つの文章を見てもらいたい。

・It was raining.
・It had been raining.

 どちらも過去に降っていた雨について述べているが、前者の過去進行形と後者の過去完了進行形では意味に大きな違いがある。

 過去進行形では、過去の特定の時点で何かが進行中であったことを表す。以前に解説した未来進行形と考え方は同じだ。たとえば、「It was raining when he left the house.」という文では、彼が家を出た時点でちょうど雨が降っていたという意味になる。

・I was eating when she called me.
・I was taking a shower when the phone rang.

 上の2つの文も同様に、「when」以下のことが起こった時点で食事やシャワーが進行中だったことを示すのだ。

■過去完了進行形のニュアンス

 過去完了進行形も、過去に進行中だったことについて述べる点では過去進行形と同じだ。大きな違いは、過去の特定の時点に起こっていたことなのか、過去の一定期間に進行していたことなのかという点である。

 言い換えると、途中で別の出来事に妨げられることことなくずっと続いていたことを過去完了進行形で表す。たとえば、「It had been raining for three hours.」は、過去に3時間連続して雨が降り続いていたことを意味する。

 では、先の例文を言い換えて、「It had been raining when he left the house.」とすると、何を意味するのかおわかりだろうか。これは、「彼が家を出た」というその時点までの一定期間、雨が降っていたことを表すのだ。

 「It was raining when he left the house.」では、彼が家を出た瞬間にまさに雨が降っていたことを意味する。一方、「It had been raining when he left the house.」は、彼が家を出た時にすでに雨は降っていなかった。しかし、たとえば地面が濡れているなど、明らかにそれを示す状況があるため、彼が家を出るまでの一定期間において雨が降っていたことがわかるのだ。

 微妙なニュアンスを示すために、もう1つ例を示そう。

・He was watching TV when she called me.
・He had been watching TV when she called me.

 上の文では、彼女が電話をかけてきたその瞬間に彼はテレビを見ていたことを表す。一方、下の文では、彼女が電話をかけてきた時に彼はテレビをもう見ていなかったのである。しかし、何十分か何時間か知らないが、電話がかかってくる以前の一定の時間、彼がテレビを見ていたことを示す。

 このように、過去進行形と過去完了進行形には微妙なニュアンスの違いがある。これが理解できると英語でより正確に時間を表現できるようになるだろう。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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