JPホールディングスは上値試す、23年3月期増収増益予想、こども家庭庁設置も追い風

2022年7月5日 08:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 JPホールディングス<2749>(東証プライム)は総合子育て支援のリーディングカンパニーとして、長期ビジョンでは「選ばれ続ける園・施設」を掲げている。認可保育園・学童クラブ運営を中心に、子育て支援の質的向上と事業を通じた社会貢献を推進するとともに、成長戦略として新規領域への展開も推進する方針だ。23年3月期は新規施設や効率的な施設運営などで増収増益予想としている。23年4月設置予定の「こども家庭庁」も追い風となりそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は5月の安値圏から反発し、さらに「こども家庭庁」設置法案の可決・成立も材料視する形で急伸している。上値を試す展開を期待したい。

■総合子育て支援のリーディングカンパニー

 総合子育て支援のリーディングカンパニーとして、認可保育園・学童クラブ運営を中心に子育て支援の質的向上と事業を通じた社会貢献を推進している。事業区分は認可保育園や学童クラブなどを運営する子育て支援事業、保育所向け給食請負事業、英語・体操・リトミック教室請負事業、保育関連用品の物品販売事業、研究・研修・コンサルティング事業としている。

 収益性が悪化した施設については閉園を進めている。また経営資源の効率化を図るため、22年4月1日付で連結子会社の日本保育サービスが同じく連結子会社のアメニティライフ(横浜市で保育所5園運営)を吸収合併した。

 22年3月期末の運営施設数は、保育園が211(認可保育園・公設民営が11、認可保育園・民設民営が182、認可外東京都認証保育所が13、認可外企業主導型保育事業が1、その他認可外保育園が4)、学童クラブが81、児童館が11、合計が303(21年3月期末は301)だった。首都圏を中心に展開している。22年3月期末時点の受入児童数は21年3月期末比72人増加の1万5653人だった。

 収益は既存施設の稼働率、新規施設の開園、保育士待遇改善に伴う人件費の増加、補助金の増減などが影響する。また新規施設の開園は概ね4月のため、期前半は各施設への保育士配置に係る費用が先行するが、児童数が増加して稼働率が上昇する期後半に向けて収益が拡大する特性がある。自治体から受け取っている保育士の借り上げ社宅に対する補助金等については、従来は補助金収入として営業外収益に計上していたが、22年3月期から売上高に計上する方法に変更した。

 なお22年6月に「こども家庭庁」設置法案が可決・成立した。23年4月1日付(予定)で創設する。保育所と認定こども園の所管が同庁に移管され、少子化、こどもの貧困、虐待防止対策など幅広い分野において同庁が一元的に企画・立案・総合調整を行う。

■長期経営ビジョンは「選ばれ続ける園・施設」

 長期経営ビジョンでは「選ばれ続ける園・施設」を目指し、連結売上高1000億円(既存事業500億円、新規事業500億円)に向けて、既存事業の改善・拡大、新規事業、資本・業務提携を推進している。

 さらに中期経営計画(ローリング方式により年次で見直し実施)では、当初の24年3月期計画を前倒しで達成したため、新たな目標数値に24年3月期売上高363億円、経常利益39億60百万円を掲げた。重点戦略として既存事業の収益性強化、子育て支援の更なる質的向上、社会・事業環境の変化を捉えた新たな価値創造に向けた新規事業の開発を推進する。

 既存事業の収益性・効率性の向上では、新たなプログラム(幼児学習プログラム、ダンスなど)導入による受入児童数の拡大と競争優位性の確立、配置人数の適正化と運営オペレーションの効率化を捉えたICT化の推進、小さな本部の実現に向けた経営管理・収益管理の体制強化および経営の効率化を捉えたシステム化と構造改革を推進する。そして学童クラブ・児童館の拡大(現状の2倍の200施設を目指す)を推進する。

 健全性の向上では、安全・安心の確保を最優先とした運営体制・対策方針の策定と徹底、選ばれる園・施設づくりとしてのブランドイメージの向上と優位性の確立、魅力ある職場環境づくり、コンプライアンスの徹底およびコーポレート・ガバナンスの更なる強化を推進する。

 成長性の向上では、子育て支援の取り組みを待機児童対策から少子化社会への対応として、新たな価値創造に向けたサービス・事業を開発・展開する。

 そして新規事業の開発を加速するため、子育て支援業界および異業種との資本提携・業務提携(21年1月に資本業務提携して第1位株主となった学研ホールディングス<9470>など)を積極推進して収益基盤を拡大する。また、社会・事業環境の変化に対応した幼児教育・新規プログラムのDX化によるグループ競争力の強化、子育て支援プラットフォーム事業「コドメル」のサービス機能強化と商品を拡充したグローバル展開、発達支援事業の拡充と既存施設で培った専門性の高いサービスの提供などを推進する。

 21年6月には、保育園向け知育プログラムとして学研式指導システム「もじかずランド」の導入を開始した。21年9月には子会社の日本保育総合研究所が神奈川県下を中心とした保育所等訪問支援事業を開始した。児童福祉法に基づいて、障害児が地域の中で差別されることなく、障害のない子どもたちとともに育ち、ともに学び合うことができるインクルーシブな社会の実現を目指す未来志向型の事業で、発達支援(療育)の専門知識のあるスタッフが、保育園・幼稚園・小学校など日常生活の場に定期的(月1~2回程度)訪問してサポートする。

 21年10月には、子会社ジェイキャストが新たな成長戦略を捉えた新規事業プログラム「保育園児向けダンスプログラム」を提供開始した。またガーデンライフスタイルメーカーのタカショー<7590>と協同で、こどもたちが「野菜を育てる楽しさ」と「野菜のおいしさ」を学べる食農・食育プログラム「VegTrug Kids」を開始した。

 さらに子育て支援と資源の有効活用・環境保全(SDGs)の両立を目的として、会員制の子育て支援プラットフォーム「コドメル(codomel)」サービスも強化する方針だ。全国で運営する300超の子育て支援施設(保育所、学童クラブ、児童館)の園児・児童と、その保護者を会員化して、乳児期・幼児期・学童期において子育てに関する様々な商品やサービスを幅広く提供する。

 第1弾サービスとして22年4月より、子育て関連用品を中心とするリユース品に関する「子育て商品マッチングサービス」を開始した。今後は第2フェーズとして子育て世代に商品や様々なサービスを提供するBtoC事業、第3フェーズとして東南アジアへのサービス展開を推進し、6年目に取扱高18億円を目指す。新たな事業柱を構築する方針だ。

■23年3月期増収増益で連続増配予想

 23年3月期の連結業績予想は売上高が22年3月期比3.7%増の356億40百万円、営業利益が6.4%増の35億60百万円、経常利益が6.6%増の35億80百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が2.0%増の23億25百万円としている。配当予想は普通配当を50銭増配するとともに、創業30周年記念配当1円を実施して、22年3月期比1円50銭増配の6円(期末一括)としている。連続増配予想となる。

 新規施設13施設(22年4月1日付で保育所2園、学童クラブ・児童館11施設を開設)や効率的な施設運営などで増収増益予想としている。引き続きデジタルを活用した園見学、英語・体操・リトミック・ダンスなどのプログラムのオンライン化、新たな幼児学習プログラムの導入など「選ばれる園・施設づくり」としての取り組みを推進するとともに、新規事業としての子育て支援プラットフォーム「子育て商品マッチングサービス」も推進する。23年4月設置予定の「こども家庭庁」も追い風となりそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は5月の安値圏から反発し、さらに「こども家庭庁」設置法案の可決・成立も材料視する形で急伸している。週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して基調転換を確認した形だ。上値を試す展開を期待したい。7月1日の終値は245円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円58銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS136円91銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約215億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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