綿半ホールディングスは上値試す、23年3月期増収増益・連続増配予想

2022年5月25日 17:02

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 綿半ホールディングス<3199>(東証プライム)は、ホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。5月13日には新・中期経営計画を発表し、新たな経営方針に「地域に寄り添い地域と共に新しい価値を創造する」を掲げた。22年3月期は小売業における店舗改装費用、建設事業における資材価格高騰や工場再編成、貿易事業における前期特需の反動減などで営業・経常減益だったが、配当は増配とした。23年3月期は増収増益・連続増配予想としている。小売事業が堅調に推移し、受注好調な建設事業の業績が回復する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して小幅レンジでモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。上値を試す展開を期待したい。

■小売事業、建設事業、貿易事業を展開

 ホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。22年3月期のセグメント別売上高構成比は小売事業が67%、建設事業が28%、貿易事業が5%、その他(不動産事業等)が0%、利益構成比(全社費用等調整前営業利益)は小売事業が52%、建設事業が24%、貿易事業が20%、その他が4%だった。なお小売事業に含まれていた木造住宅分野を22年3月期から建設事業に変更した。

■小売事業はEDLP×EDLC戦略を推進

 小売事業は、綿半ホームエイドが長野県を中心にスーパーセンター業態とホームセンター業態、綿半フレッシュマーケットが愛知県を中心に食品スーパー業態、綿半Jマートが関東甲信越エリアにホームセンター業態を展開している。スーパーセンターは10万点を超える豊富な品揃えに加えて、生鮮食品を加えることで主婦層を取り込み、平日・土日の平準化を図っていることが特徴である。

 M&Aも活用したエリア拡大と売場面積拡大、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)×EDLC(エブリデー・ロー・コスト)戦略、子会社の綿半パートナーズによるグループ商品仕入原価低減とPB商品共同開発・相互供給、全社を一本化する新基幹システムの導入と物流改革、ネット通販の拡大などを推進している。

 M&Aでは、18年12月に家電・パソコン通販サイト「PCボンバー」運営のアベルネット(現:綿半ドットコム)を子会社化、19年4月に長野県内で「お茶元みはら胡蝶庵」を展開する丸三三原商店(現:綿半三原商店)を子会社化、20年10月に家具・インテリア販売や空間デザイン事業を展開するリグナ(東京都)を子会社化、20年11月に調剤薬局併設ドラッグストアを展開するほしまん(長野県)を子会社化、21年3月に組立家具「Shelfit」製造販売の大洋(静岡県)を子会社化、21年11月にはヴィンテージスタイルの家具・インテリアショップ「藤越 FUGGICOSI」を展開する藤越(静岡県)を子会社化した。

 22年4月には、建物管理・不動産売買のAIC(東京都新宿区)を連結子会社化した。不動産情報の集約、物件管理機能の強化を図る。また、綿半パートナーズの子会社である藤越とリグナを合併(新社名リグナ)した。家具・インテリアの仕入機能やネット通販のノウハウを融合し、家具販売事業の効率化と収益性向上を図る。

 22年には綿半スーパーセンター権堂店(長野市)を出店予定である。中心市街地型店舗開発を推進しており、生鮮食品、ホームセンター商品、医薬品、各種テナントを含めた複合型店舗として初の出店となる。

 小売事業の月次売上(速報値)を見ると22年4月は全店が98.9%、既存店が99.9%だった。既存店は僅かながら4カ月ぶりに前年比マイナスに転じた。天候不順の影響でDIY・レジャー用品が低調だった。ただし医薬品売場等の店舗改装効果や、新商品を積極的に展開したグローサラントの好調などで、ほぼ前年並みを確保した。

■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み

 建設事業は、綿半ソリューションズが建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開し、長尺屋根工事および自走式立体駐車場工事を強みとしている。長尺屋根工事は、工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行う「WKカバー工法」で特許を取得している。自走式立体駐車場工事は、柱が少なく利用者が使いやすい「ステージW」など、多数の国土交通省認定を有して国内トップシェアを誇っている。

 21年2月に引き渡し完了したSUBARU矢島工場従業員専用立体駐車場の建設工事、および工場と駐車場を繋ぐ連絡橋工事では、駐車場屋上階に自走式駐車場発電設備として日本最大級規模の太陽光発電システムを設置した。21年7月には、新宿駅東口「クロス新宿ビジョン」が設置されているクロス新宿ビルに、自社オリジナル製品の超大型大開口サッシ「GLAMO」が採用されて竣工した。21年11月には(仮称)門真市松生町商業施設計画に併設される大型立体駐車場2棟の建設工事を受注し着工した。

 なお19年8月に戸建木造住宅FC事業を展開するサイエンスホーム(静岡県)を子会社化、21年8月に戸建木造住宅販売・加盟店運営の夢ハウス(新潟県)を子会社化した。また21年6月には長野県高森町に鉄構工場を新設すると発表している。飯田第1工場の機能を新工場に移転・集約する。

■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを販売

 貿易事業は、医薬品・化成品向け天然原料輸入専門商社の綿半トレーディングが展開している。

 ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など特定分野に強みを持ち、製造部門はHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。

 なお21年12月には、海外市場への販売拡大に向けてAlibaba.comに自社サイトを掲載し、自社原料商品の取引を開始した。

■新・中期経営計画

 5月13日に新・中期経営計画(23年3月期~25年3月期)を発表した。新たな経営方針に「地域に寄り添い地域と共に新しい価値を創造する」を掲げ、目標数値は25年3月期売上高1350億円、経常利益40億円、経常利益率3%とした。

 地域との繋がりを大切にしながら、地域の発展に尽くすとともに、目標数値達成に向けて諸施策を実践し、企業価値向上を図るとしている。なお20年6月には長野県SDGs推進企業に登録されている。

■22年3月期営業・経常減益、23年3月期は増収増益・連続増配予想

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響は軽微)は、売上高が1145億円、営業利益が21年3月期比26.8%減の24億01百万円、経常利益が16.8%減の29億36百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.8%増の22億04百万円だった。配当は21年3月期比1円増配の21円(期末一括)とした。

 小売業における店舗改装費用、建設事業における資材価格高騰や工場再編成、貿易事業における前期特需の反動減などで前回予想を下回り、営業・経常減益だった。営業外収益では出資金運用益1億32百万円を計上、特別利益では負ののれん発生益1億97百万円を計上、特別損失では減損損失2億63百万円が一巡した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が13億20百万円減少、売上原価が10億83百万円減少、販管費が2億36百万円減少している。21年3月期を新基準で算出した場合、22年3月期は1.1%増収となる。

 小売事業は売上高が765億74百万円(木造住宅分野を建設事業に変更、21年3月期は779億24百万円、収益認識会計基準適用で13億20百万円減少)で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が22.0%減の18億15百万円だった。巣ごもり需要の反動減があったが、スーパーセンター化した八田店など改装店舗が好調に推移して売上高は前期並みを確保した。利益面は店舗改装費用などの影響で減益だった。

 建設事業は売上高が4.3%増の318億28百万円で、利益が28.1%減の8億47百万円だった。資材価格高騰や工場再編成の影響で減益だった。ただし受注高は88%増と好調に推移した。

 貿易事業は売上高が4.3%減の58億16百万円で、営業利益が24.7%減の6億97百万円だった。前期のコロナ禍に伴う医薬品安定供給確保のための在庫積み増し特需の反動減、原料価格・輸送コスト上昇、為替影響などで減収減益だった。

 なお全体業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が260億23百万円で営業利益が3億36百万円、第2四半期は売上高が278億11百万円で営業利益が4億16百万円、第3四半期は売上高が311億09百万円で営業利益が9億07百万円、第4四半期は売上高が295億57百万円で営業利益が7億42百万円だった。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比9.2%増の1250億円、営業利益が22.8%増の29億50百万円、経常利益が14.1%増の33億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が2.1%増の22億50百万円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の22円(期末一括)としている。連続増配である。

 セグメント別の計画は、小売事業の売上高が1.9%増の780億円でセグメント利益が0.6%増の18億26百万円、建設事業の売上高が25.9%増の400億85百万円で利益が71.5%増の14億53百万円、貿易事業の売上高が1.7%増の59億15百万円で利益が0.3%増の7億円としている。小売事業が堅調に推移し、受注好調な建設事業の業績が回復する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年9月末の継続保有株主対象

 株主優待制度は、毎年9月30日現在で1単元(100株)以上を継続的に保有している株主を対象として、信州特産品や綿半ホームエイドPB商品詰め合わせなどを贈呈している。なお新たに300株以上の優待区分を新設し、21年9月末対象から実施(詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪化も影響して小幅レンジでモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。上値を試す展開を期待したい。5月24日の終値は1338円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS113円31銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS974円25銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約266億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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