【映画で学ぶ英語】『ベルファスト』の名言5選

2022年3月21日 09:02

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 3月25日に公開される映画『ベルファスト』は、シェイクスピアの戯曲の映画化で知られるケネス・ブラナーが脚本・監督を務めた半自伝的コメディ映画。第94回アカデミー賞で作品賞も含めて7部門にノミネートされている。

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 1960年代、プロテスタント系住民とカトリック系住民の対立で荒れる北アイルランドの街・ベルファストが舞台。この街に住む労働者階級の家族の物語が、9歳の少年・バディの視点から描かれる。

 今回はこの映画の主要登場人物5人の名言を紹介したい。

■ If they can’t understand you, then they’re not listening.

 「ポップ(じいちゃん)」という愛称で呼ばれるバディの祖父は、長く炭鉱で働いていた労働者らしく、人生経験から得られた知恵に富んだ人物だ。仕事で家を離れることが多い父親に代わって、バディの面倒を見たり相談にのったりしており、特に印象深いセリフが多い。

 上にあげたセリフは、イングランドでアイルランド訛の英語が理解されないことを不安に思うバディを勇気づけるセリフ。

 「お前の言っていることが理解できないと言うなら、それは彼らがお前の言うことを聴いていないだけ」要は彼らの問題であって、自分に自信を持てば良いというわけである。

■ I know nothing else but Belfast.

 イングランドで条件の良い職場を得たバディの父親・パ(父さん)は、動乱で落ち着かないベルファストを捨てて家族で移住しようと考えている。これに対して母親・マ(母さん)は「ベルファスト以外の土地はまったく知らない」と言って、生まれ育った街を離れることに消極的だ。

 このセリフのbutは「~以外には」という意味。「(~する)よりほかに仕方がない」、「~せざるを得ない」と言いたいときに、cannot (choose) but doのように不定詞を伴って使われることもある。

■ We can give these boys a better chance than we ever had.

 前にあげたセリフに対してバディの父は、「子どもたちにこれまでよりもずっとマシなチャンスを与えることができる」と言って妻を説得する。

 政治経済的理由で長年暮らした土地を離れることを余儀なくされる家族の苦悩は、この映画の重要なテーマのひとつ。子どもの将来のために移住するというこのセリフに共感するひとは多いのではないだろうか。

■ When I grow up, I want to marry her.

 主人公のバディは、成績の良い同級生・キャサリンに夢中だ。彼女のことをどのくらい好きかじいちゃんに訊かれたバディは、「大きくなったらお嫁さんにしたい」と言う。バディの微笑ましいラブストーリーも、この映画の見どころである。

 このセリフでは、「~と結婚するmarry」という動詞が能動で使われる場合、目的語が結婚相手を表し、前置詞を必要としないことを確認しておきたい。一方、「~と結婚している」と状態を表す場合には、be married toと受け身になって前置詞toを用いる。

■ Go now, don’t look back.

 バディの祖母・グラニー(ばあちゃん)役は、「007」シリーズでボンドの上司・M役を長年務めたことでも知られる名女優・ジュディ・デンチ。家族への愛情に満ちた飾り気のない労働者階級の女性を見事に演じている。

 動乱のなか、「行きなさい、振り返るんじゃないよ」と言ってイングランドに移住するようにバディ一家の背中を押すのが彼女だ。シンプルなセリフに、愛する家族へのあらゆる思いが込められた、忘れられない場面である。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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