ビジネス中国語学習者が知っておきたい、中国語のことわざ5選 第2弾

2021年12月29日 11:48

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 ことわざは、生活の知恵や物事の道理を一言でまとめたものだ。中国には、5千年の歴史の中で蓄積された10万以上のことわざがある。これまでも、中国文化の精髄とも言えることわざや成語について紹介してきた。

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 たった1つのことわざを知ることで、不可解に感じた中国人の言動が、どういった価値観に根差したものだったかはっきり分かる時がある。適格なタイミングと場面でことわざを上手に使えば、中国通と一目置かれ、中国人との距離が一気に縮まるだろう。今回も前回に引き続き、中国人を知るために役立つ5つのことわざを紹介したい。

●1. 狗改不了吃屎(gǒu gǎi bù liǎo chī shǐ)

意味: 糞を食べるという犬の本性は変えられない。悪人の本性は変えられない。3つ子の魂百まで。

 中国には「江山易改本性难移」、「豆重榆瞑」、「积习难改」など類似のことわざが多数ある。人の性質や本質が変わらないことへの諦めや悲しみの感情が込められたことわざだ。浮気・盗み・暴力などを繰り返す家族や知人への怒りや嘆きの気持ちを込めて使うことが多い。

●2. 大人不记小人过(dà rén bù jì xiǎo rén guò)

意味: 「立派な人間はつまらない人間のことなど気にしない」、「年長者は年少者の、また上司は部下の失敗や過ちを責めない」という意味。大人 = 立派な人、小人 =とるにたらない人。

 過ちを犯した時、失言があった時など、謝罪する場面で使うことが多い。自分を小人と下げ、相手を大人と持ち上げることによって、相手の心が和らぐ。

●3. 以小人之心度君子之腹(yǐ xiǎo rén zhī xīn,duó jūn zǐ zhī fù)

意味: 小人の心で君子の腹を推し量る。さもしい考えで人の心を邪推する。げすの勘ぐり。

 自分の行為を邪推されたり、誤解を受けたりした時に使うことわざ。自分の尺度で他人の行動を推し量ることはやめてほしいという非難の気持ちが込められている。

●4. 多一事不如少一事(duō yī shì bù rú shǎo yī shì)

意味: 余計なことをするより物事を控えめにする方がよい。やらないで済むなら、やらない方がよい。

 多民族国家で人口過多の中国には、トラブルやもめごとを避けて上手く生きる処世術を身につけるのは必須だ。「多一个朋友总比多一个敌人好」、「大事化小,小事化了」など 競争の激しい複雑な社会でトラブルに巻き込まれず、人の恨みを買わずに生きることの大切さを説いたことわざが、中国には実にたくさんある。

●5. 一个巴掌拍不响(yī gè bā zhang pāi bù xiǎng)

意味: 1つの手のひらだけでは音は鳴らない。トラブル、衝突、争いなどは、双方に責任があり、どちらか一方だけが悪いことはまずないという意味。どっちもどっち。

 中国人の喧嘩を傍から聞いていると、全力で相手の非を責める人が多いようだ。そんな時、双方を諫め、自分にも悪いところがあったことを思い返してもらうために、このことわざが使われる。

 ことわざは、複雑で厳しい人間社会を生き抜くために知っておきたい人生哲学だ。シンプルな言葉で道理や思想の深淵に迫ることができ、適切なタイミングで上手に使うと機知にとんだ会話が楽しめる。

 上記で紹介したことわざは、テレビ番組や映画でも多用されていることわざだ。ぜひ、覚えて使ってみよう。日常会話やメール、メッセージなど、適切なタイミングで上手に使うと中国通と一目置かれるだろう。(記事:薄井由・記事一覧を見る

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