東急不動産、東急ハンズをカインズに売却へ 業績悪化で再建困難と判断

2021年12月23日 07:31

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 東急不動産グループの雑貨店・東急ハンズが、ホームセンター大手のカインズに売却されることが決まった。コロナ禍やインターネット通販の攻勢で業績が悪化し、親会社の東急不動産ホールディングスがグループ内で再建が困難と判断した。カインズは当面、東急ハンズの名称のまま、営業を続ける。

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 東急不動産ホールディングスは22日の取締役会で、連結子会社である東急ハンズの発行済み株式すべてと、東急ハンズに対して有する貸付債権をカインズに譲渡することを決議した。これを受け、カインズと株式譲渡契約を結んだ。譲渡予定日は2022年3月31日、売却額は非公表としている。

 東急不動産ホールディングスの役員を兼務する東急ハンズの木村成一社長ら役員4人は、譲渡までに東急ハンズの役員を退く。東急不動産ホールディングスは2022年3月期決算に譲渡に伴う特別利益を計上するが、連結業績予想に変更はないとしている。

 カインズは当面、パートナーとして東急ハンズをグループ内に受け入れ、双方のシナジー効果で新たなDIY文化を創出したい考え。さらに、ネット通販サイトでも東急ハンズの商品を積極的に販売する。カインズは郊外主体の店舗展開だが、東急ハンズの店舗が多い都心部での集客にも期待している。

 東急ハンズは1976年の創業で、国内外で86店を展開している。一時はおしゃれな商品が多く、何が見つかるか分からない楽しさがあるとして若者や子育て世代の人気を集めたが、最近はインターネット通販の拡大で売り上げが減少していた。そこへ新型コロナウイルスの感染拡大で来店客が減り、大打撃を受けた。

 2021年3月期決算の連結売上高は前期比35%減の631億円に落ち込み、44億円の営業損失を出した。このため、施設の老朽化が進んでいた東京都豊島区の池袋店を閉店するなど対策を講じてきたが、グループ内で再建が困難と判断された。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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