友引でも葬儀 廣済堂は迷信(タブー)に挑み商機を得た!?

2021年12月2日 15:55

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11月には都内の火葬場に「花の自動販売機」を設置(画像: 広済堂ホールディングスの発表資料より)

11月には都内の火葬場に「花の自動販売機」を設置(画像: 広済堂ホールディングスの発表資料より)[写真拡大]

 祖業の印刷と人材・葬儀を3本柱とする廣済堂ホールディングス(東証1部、以下、廣済堂)の、今3月期第1四半期に「迷信(タブー)への挑戦が奏功」を感じた。

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 前3月期の「10.2%減収、13.3%営業減益」に対し今期は「6.4%の増収(335億円)、19.0%の営業増益」計画で立ち上がった。そして第1四半期は前年同期比「12.0%増収、197.5%営業増益」。

 廣済堂は前期、中計初年度に当たり「不採算事業の整理」「工場再編」そして「希望退職者募集」と構造改革に着手した。今期からの「持ち株会社移行」への体制整備でもあった。効果が「収益の下支え」要因となり、寄与することは予想できた。

 が、件の「197.5%の営業増益」には「なんで」と思わざるをえなかった。何に起因しているのか。各セクター別の動向がそれを物語っていた。

★情報(印刷)セグメント: 大型BPO(IT・印刷技術を絡めた、企業業務の企画に関し設計から実施までを一括受託)案件の堅調や広告関連の需要回復などで(前年同期比7.1%の)増収。だが設備の入れ替え遅延による外注費増等で、セグメント営業利益は1億9900万円の損失。

★人材セグメント: 主力の求人媒体(紙&web)の広告件数が回復基調も、前年度並みに至らず減収。ベトナムで展開中の海外人材事業も新型コロナウイルスの影響で、低調に推移。人材派遣やHRテック(人事業務全般の効率化を図るソリューション事業)の好調維持で17.6%の増収確保も、利益は5500万円にとどまった。

 そして葬祭事業(火葬炉併設の総合斎場を都内で6カ所運営)。前期は葬儀の簡素化という流れや「密回避」の影響で、「4.6%の減収、5.0%営業減益」を余儀なくされた。今期もコロナ禍の影響から回復が遅れているが、「19.3%増収(21億3300万円)、57.4%の増益(5億9700万円)」。第1四半期の総営業利益:3億2600万円を勘案すると出だし好調の主因は、葬祭事業に求められる。

 廣済堂では、要因をこうカウントする。「火葬取扱数の増加」「火葬料金値上げ」「友引営業の貢献」。浅学の身。当初は「ともびき」云々に首を捻った。が、「ご先祖様があって初めて我々がある」が持論で、101歳の今なお朝一の仏壇に向かっての読経を欠かさないサ高住の人:父親に以下の様な説明を受け納得した。

 『友引は中国で生まれた六曜(ろくようorりくよう)という、日々の縁起の良悪を占う上の暦。一月を先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口(しゃっく)の6日に区切り、例えば友引は友を引いていくので「結婚式」には良いが「葬式」はダメ。自分も詳しくは知らないがそんな具合に受け継がれ、いまでも友引に火葬場は休日』。

 だが廣済堂の火葬炉つき斎場は自前。いつまでも古き因習に囚われる必要などない、という判断から・・・ということのようだ。

 廣済堂は、迷信(タブー)に挑戦しビジネスチャンスを創った・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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