介護業者:ウチヤマHDに特定技能外国人9人入社の仕組み

2021年11月18日 17:13

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 ウチヤマホールディングス(東証1部。以下、ウチヤマHD)は、「介護施設・カラオケ店・飲食店運営が3本柱」とされる。が、実質上の主力は「介護事業」。介護付有料老人ホーム61カ所を初め、介護関連施設167カ所を展開(2021年4月1日時点)している。福祉という括りでみると「障がい者支援施設21事業所」「保育園1施設」も手掛けている。

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 ところで周知の通り、「介護士不足」が指摘されている。その打開策の1つとして、いわゆる「特定技能外国人」の活用が注目されている。が、遅々として進まない現状がある。そうした中、ウチヤマHDの介護付有料老人ホーム3カ所に計9名の特定技能外国人が入社したと知った。どんな枠組みで実現に至ったのか。

 入り口は、ウチヤマHDがインドネシアで運営している職業訓練校。今回の9名もそこで日本語を学び来日した。そして技能実習生としてホテルの客室掃除やベッドメイキングなどの仕事を3年間務めた。だがそうする中で彼女たちは、「介護は未経験だが、人を相手に働けることに魅力を感じる」と、ホテルで働きながら介護の「特定技能試験」にチャレンジ合格した面々である。まず「入り口」ありき。日本語を学んだ上での来日。その線上で意欲ある外国人介護士誕生を促した、ウチヤマHDの施策には頷けるものを感じる。

 ウチヤマHDの足元の収益動向は前3月期の「21.5%の減収、10億8500万円の営業損失」に対し今期は、「コロナ状況が読み切れない」として「未計画」でスタートした。そして「2.0%減収(114億5600万円)、2億7200万円の営業損失(前年同期5億5300万円損失)」となった中間期時点でも、通期計画は「未定」。状況の背景は3本柱の現状が示している。

★介護事業: 介護付有料老人ホーム3カ所新設。福祉事業を含めると113カ所192事業所体制に。介護施設の平均入居率は92.5%。売上高:前年同期比2.6%増(102億803万円)、営業利益8.3%増(8億130万円)。

★カラオケ事業: 退店3/85店舗体制。28.3%減収(10億4787万円)、営業損失4億8106万円(6億2198円)。

★飲食事業: 退店2/11店舗。48.7%減収(7957万円)、営業損失8491万円(1億2740万円)。

 コロナ動向の「カラオケ&飲食事業」への影響が改善傾向も、依然予断を・・・という現状を示している。

 ただ介護事業には極めて貪欲。前記した特定技能外国人9名の入社など先を見据えた施策が具現化してきた好例だが、例えば介護施設の取り組み姿勢を発表するイベント「介護付きホーム研究サミット」の2021で「優秀賞」を獲得した。だがウチヤマタイムズ11月号には、こんなくだりが見受けられる。「残念ながらグランプリ受賞の夢は叶いませんでしたが・・・」。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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