【映画で学ぶ英語】『ブラック・ウィドウ』:「償う」の意味もあるイディオムmake up

2021年7月15日 09:15

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 7月8日に公開された『ブラック・ウィドウ』は、「アベンジャーズ」シリーズなどでおなじみの女スパイ・ブラック・ウィドウを主人公にしたアクション映画だ。

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 マーベル・コミックの映像化シリーズであるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)にとって、24本目の実写長編映画となる。

 今回はこの『ブラック・ウィドウ』から、「埋め合わせをする、償う」という意味のイディオムmake upの用法を学習したい。

■映画『ブラック・ウィドウ』とは

 『ブラック・ウィドウ』は、マーベル・スタジオの製作でウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズが配給する作品。もともと2020年5月に公開される予定だったが、新型コロナウイルスの影響により1年以上延期されていた。

 このため公開を待ちわびるファンの期待は大きく、公開初日の米国における興行収入は、推定1,320万ドル(約14億5,339万円)に上った(米Deadline調べ)。

 この数字は、6月に米国で公開された『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(710万ドル)を大きく上回る。MCUのなかでも、2018年に公開された『アントマン&ワスプ』(1,150万ドル)を超える順調なすべり出しである。

 本作の主人公であるブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ役は、『アイアンマン2』(2010年)以来10年間、スカーレット・ヨハンソンが演じてきた。このキャラクターはすでに『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)で死亡しており、ヨハンソンもMCUから引退する意向を示している。

 このため事実上MCUにおけるヨハンソン主演の最初で最後の映画となる本作では、ナターシャの過去に焦点が置かれた。彼女のオリジン・ストーリーや忘れたい過去との対決が、007やミッション:インポッシブルなみの豪華なアクションで描かれている。

■今回の表現

【make it up to … 】 (人)に埋め合わせをする

 今回のダイアログは、ナターシャに装備などを調達するフィクサーであるリック・メイソンとナターシャの会話である。

 Rick: You know, you’re getting dangerously close to running out your tab. Supplies I can tally, but you bring me attention from the authorities, all my prices go up.
 リック:おたく、だいぶつけが溜まってきたよ。ご注文には応じるけど、おたくのせいで当局に睨まれるなら、全面値上げするからね。
 Natasha: What’s that supposed to mean?
 ナターシャ:どういうこと?
 Rick: Your mate, Secretary Ross, has been sniffing around my affairs to the point at which I’ve got contacts declining my calls. I’m a private contractor.
 リック:おたくのパートナー、ロス国務長官がうちのことを嗅ぎ回っているので、取引先が電話に出てくれなくなった。うちは民間請負業者だぜ。
 Natasha: You are sensitive.
 ナターシャ:随分と神経質ね。
 Rick: You’re a very annoying individual.
 リック:おたくこそ厄介者だ。
 Natasha: I’ll make it up to you.
 ナターシャ:この埋め合わせはするわよ。
 Rick: That’s what you say every time.
 リック:またいつものセリフだ。

■表現解説

 英語のmake upというイディオムは、組み立てる、構成する、でっち上げる、メークアップするなど非常に多くの意味で使われる。その1つに、今回学習する「埋め合わせをする」という意味もある。

 今回の表現のように、迷惑をかけた相手にいつか埋め合わせをするという意味で、I’ll make it up to youと言うカジュアルな常套句がその例である。

 このとき埋め合わせをする相手の人間が前置詞toで示されていることに注意されたい。

 埋め合わせをする対象物は、itのように目的語として前置詞を伴わなかったり、前置詞forを伴ったりして示される。

 上にあげた会話の少し前のシーンにおけるナターシャのセリフ、I was trying to (…) make up for all the pain and suffering that we caused (私たちが引き起こした苦痛や悲しみを償いたかった)が、forを使う例である。

 映画『ブラック・ウィドウ』では過去の償いが重要なテーマの1つ。これを機会に「埋め合わせ」を意味するイディオムmake upの使い方もしっかり覚えておこう。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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