宇部興産、社名変更し化学事業中心のグループ経営で世界展開に挑む

2021年6月11日 08:20

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 宇部興産は、6月下旬開催の株主総会で承認を得て、2022年4月1日付で商号を「UBE(ユービーイー)株式会社」へと変更する。

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 宇部興産は1897年「匿名組合沖ノ山炭鉱組合」として創業。「いずれは掘り尽くす有限の石炭を、工業の無限の価値に展開し、地域に永く繁栄をもたらそう」の理念の下、採炭を支える機械事業、周辺の豊富な石灰石を活用したセメントなどの建設資材事業、石灰を原料として肥料を製造する硫安などの化学事業へと発展した。

 1942年にこれらの事業会社を合併し、宇部興産株式会社となり、1949年東京証券取引所へ上場した。

 既に分社化した機械事業に続き、2022年4月より三菱マテリアルと建設資材事業の統合分社化を機会に、今後はUBE株式会社として、化学事業を中心としたグループ経営によりグローバル展開を目指す。

 2021年3月期の連結子会社は66社、持ち分法適用会社は26社を擁し、売上高は6,138億円。

 事業別の構成比は、化学事業が42%、セメントなどの建設資材事業が46%、射出成型機などの機械事業が12%を占める宇部興産の動きを見ていこう。

■前期(2021年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は6,138億円(前年比8.1%減)、営業利益は前年よりも81億円減の259億円(同23.9%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、ナイロンの販売価格下落、ファインの自動車向け減少、合成ゴムのタイヤ向け減少で化学事業が63億円、自動車産業向け成形機の低調で機械事業が21億円の減益であった。

 一方、建設資材事業が1億円、全社調整その他が1億円の増益であった。

 今期より収益認識に関する会計基準適用により、売上高5,700億円、営業利益3,700億円(前期比42.8%増)を見込んでいる。尚、前基準での参考売上高は、6,500億円(同5.9%増)を見込んでいる。

■中期経営計画(Vision UBE 2025)による推進戦略

 2022年3月期営業利益550億円(対前期比112.4%増)を目指して次の戦略を推進する。

1.グローバル展開、化学部門中心の重点強化により成長基盤強化

2.ガバナンス強化により意思決定の迅速化、品質保証体制の確立

3.地球環境問題への対応強化

■4.事業別推進戦略

●化学事業: 2022年3月期営業利益目標320億円(対前期比295.1%増)

・電池材料、EV向け製品、モビリティ軽量化部材など環境貢献型技術、製品の開発。

・ファインケミカルなどの米州進出、高機能コーティング、合成ゴムのタイ、スペイン、マレーシア拠点拡充。

・高機能、長寿命なLTO電池と航空機エンジン向けチラノ繊維の事業化。

●建設資材事業: 同165億円(同12.2%増)

・2022年4月建設資材事業の事業統合による競争力強化により、海外への積極的展開。

・生産合理化、廃棄物利用拡大により基盤事業の収益拡大。

・省エネ安定供給体制構築により、セメント、生コン、マグネシア、エネルギー事業の収益性アップ。

●機械事業: 同70億円(同150%増)

・ダイカストマシン、産機のアジア、インド市場での販売、サービス拡充。

 従来の複合事業会社から、化学事業を中心にグループとしてグローバル展開するUBE体制を目指す宇部興産の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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