コロナバブルが弾けた? 冷や水を浴びせた米長期金利上昇による悪いインフレ懸念 後編

2021年3月1日 17:00

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 先週、2日間に渡って行われたのは、FRBのパウエル議長によるアメリカの議会公聴会への出席である。そしてパウエル議長は、足元の長期金利の上昇について問題はないか、議員より問われているのである。それは、FRBが政策金利をゼロ金利としているにも関わらず、長期金利がコロナ危機前の水準(1.5%前後)にまで上昇しているためであった。

【前回は】コロナバブルが弾けた? 冷や水を浴びせた米長期金利上昇による悪いインフレ懸念 前編

 金利が下がらない現状に対して「問題がある」と答えてしまえば、「これ以上の手段がない」と認識されてしまう可能性があり危険だ。しかしながら、「問題がない」と答えてしまっても「コロナバブル」を煽る結果となるため、俗にいう「悪いインフレ」を生み出しかねない。インフレとは物価高である。

 現在の大規模な金融緩和は、人工的な利下げによる緩和マネーのバラマキであるため、利下げをすることで当然のごとく、ドルの価値は毀損され、ドル安へ誘導される。ドル安は輸入コスト増となってインフレを助長する要素ではあるが、同時に経済が成長していれば、消費者の賃金も需要も上がっているために「良いインフレ」となる。

 しかし、インフレに経済の成長や回復が追い付かなければ、インフレだけが残り、消費者の需要は抑制される。消費者の需要が抑制された状態で輸入コストが高くなれば、生産者側である企業は利益を削ることになり、結果として従業員に支払う賃金がさらに安くなるという負のループに陥りかねないのだ。

 さて、肝心のパウエル議長の回答は「経済再開や経済成長への市場の期待の表れ」とし、一定の過熱感は認めながらも、インフレ懸念を一蹴してしまった。パウエル議長としては、ゼロ金利政策をしているにも関わらず金利が上昇してくる状況に釘を刺し、「これからも金融緩和を続ける」と明言することで、そのアナウンスによって、金利上昇の抑制を期待していたのかもしれない。

 しかし、今回はそれが裏目に出た。強気な発言によって、将来のインフレに合わせてFRBが早急な利上げを行う羽目になると判断されたのだろうか、実はこれ以上の金融緩和は余地がないと認識されてしまったのだろうか、いずにせよ、コロナがバブルであるという認識を上手く伝えきれなかった。中央銀行が最も恐れる、市場との対話のズレが明らかになってしまったのである。

 このまま長期金利が上昇することになれば当然株価も下がり、ゼロ金利政策を続けるために、FRBは次の一手を見せざるを得ない。もし、経済の回復が確認できない現状のままで企業の株価がさらに下がれば、消費者の賃金が上がるに至らない状態での「悪いインフレ」だ。

 アメリカの長期金利上昇を受けて、無金利の無国籍通貨であるゴールドや仮想通貨からも資金が引き上げられ、ドルに流れ込んだ。本来は、株式市場のリスクオフには逆相関の動きをするはずゴールドが、共に暴落することになった市況は、看過すべきではないだろう。終わりの始まりか、ただの杞憂であるのか、今後の市場の相関性には十分注視されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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