見えてきたロビンフッドの問題点

2021年2月3日 08:12

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●ゲームストップ株取引を巡り公聴会開催へ

 ロイター通信によると、ビデオゲーム販売店ゲームストップなどの銘柄を、オンライン証券が取引制限したことを受けて、米下院金融委員会と上院銀行委員会が公聴会を開催するという。

【こちらも】マーケットで存在感を増すロビンフッド族とは

 公聴会では、SNSによる呼びかけによってゲームストップ株が不自然に急騰したことで、ヘッジファンドの行動、オンライン証券の在り方、それに伴う市場への影響などを議論すると見られている。

●ゲームストップ株上昇の要因

 オンラインゲームの普及によって業績が低迷しており、シトロン・リサーチが空売りを推奨していたこの銘柄がなぜ上昇したのか?

 米国のSNSサイトredditのスレッドで、ゲームストップ株を買うように呼びかけられたことがきっかけだ。ロビンフッドなどの株取引プラットフォームで購入し、20ドル台だった株価は380ドル台に上昇した。

 下落を見込んで空売りしていたヘッジファンドはショーとポジションを解消し、買い戻した。ヘッジファンドは多大な損失を受け、他の株を売って損失を補てんしたと思われ、NYダウも一時3万ドルを割り込んだ。

●見えてきたロビンフッドの問題点

 無法地帯になりつつあるredditのようなSNSが批判されているが、コロナ禍で一気に増えたロビンフッド族にも、これまでも投機的な取引に対して批判があった。

 ロビンフッドはゲームストップなどの急激な値上がりをしていた銘柄の取引を一時停止したが、1月29日に限定的に認める方針を示すと再び急騰した。

 取引制限について顧客から提訴され、民主党・共和党両議院からも批判の声があった。

 今回、新興勢力であるロビンフッド族が、市場で大きな力を持つ巨大勢力ヘッジファンドへ不意打ちしたことは、留飲を下げたという声も多い。

 一方で、ロビンフッドはこの1年で何度もシステム障害を起こしており、急激な拡大にシステムの整備が追い付いていない。

 スマホを使って少額で、手軽にゲーム感覚で取引ができるという便利さがある一方で、今回の騒動のような相場操縦の温床にもなりかねないというリスクも露呈した。

 ヘッジファンドに対抗する正義のヒーローというわけではなさそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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