エスプールは上値試す、21年11月期増収増益・連続増配予想

2021年1月25日 08:02

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 エスプール<2471>(東1)は障がい者雇用支援サービスやコールセンター向け派遣などの人材サービス事業を展開している。20年11月期は計画超の大幅増収増益だった。21年11月期も主力事業が牽引して増収増益・連続増配予想としている。収益拡大基調だろう。株価は急伸して20年1月の上場来高値に接近している。好業績を評価する形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■人材サービス事業を展開

 ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシング、セールスサポート、採用支援、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、人材紹介)を展開している。エスプール本体で新規事業開発を行い、事業規模や収益化に応じて、子会社として分社化する戦略としている。

 20年11月期のセグメント別(調整前)売上構成比はビジネスソリューション事業が28%、人材ソリューション事業が72%、営業利益構成比はビジネスソリューション事業が48%、人材ソリューション事業が52%だった。

■ビジネスソリューションは障がい者雇用支援が主力

 ビジネスソリューション事業は、障がい者雇用支援サービスを主力として、ロジスティクスアウトソーシングサービス(EC通販発送代行サービス、物流センター運営代行)、対面型会員獲得・販売促進のセールスサポートサービス、アルバイト・パート求人応募受付代行の採用支援サービス「OMUSUBI」なども展開している。

 障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」は障がい者雇用を希望する企業に対して農園を貸し出し、主に知的障がい者を企業が直接雇用する。20年11月には千葉県柏市に全国23番目の施設を開設した。20年11月期末時点の顧客数は321社、管理区画数は3829区画、就業者数は1915名となった。

 20年8月には東京都板橋区に初の屋内型農園を開設した。従来型の農園はビニールハウス型で概ね3000坪を超える敷地を必要としていたが、台風など自然災害の影響を踏まえ、屋外作業に適さない方にも就労機会を提供することを目的として屋内型を開設した。屋内型は倉庫や建物の活用を前提としているため立地面において柔軟性が高い。21年10月期は6施設(屋外型4施設、屋内型2施設)開設予定で、関西(大阪府枚方市と摂津市)に進出する。

 ロジスティクスアウトソーシングでは、巣ごもり消費を背景としてEC通販発送代行サービスが拡大している。なお21年夏を目途に、つくばセンターの拡大移転を予定している。

 採用支援サービス「OMUSUBI」は飲食・小売業を中心に求人応募受付業務を行っている。子会社エスプールリンクは20年2月クラウド型OJTシステムのClipLineと業務提携、20年3月採用支援サービスのZENKIGENに出資、健康経営支援サービスのメンタルヘルステクノロジーズに出資した。

 20年5月にはZENKIGEN、ワークスタイルテック、およびイレブンと4社合同で、企業間が期間限定で従業員をシェアし合うプラットフォーム「超企業 従業員プラットフォーム」を開設した。また20年9月には適性診断サービス「Talentgram」の提供を開始、20年11月にはWEB面接代行サービス「Faceview」の提供を開始した。

 なお20年6月には、エコノス<3136>の子会社でカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化した。環境経営支援サービスとしてCO2排出量算定支援やクレジット仲介支援などを展開する。

■人材ソリューション事業はコールセンター派遣が主力

 人材ソリューション事業はコールセンター業務の派遣を主力として、販売支援業務や介護系業務の派遣・紹介なども展開している。

■25年11月期営業利益50億円目標

 21年1月策定の新・中期経営計画では、目標値に25年11月期売上高410億円、営業利益50億円、連結配当性向30%以上、高水準のROE維持を掲げた。基本戦略として、既存事業の深掘りによるオーガニック成長、新たな事業領域における成長機会の獲得、ESGを軸とした経営基盤の強化を推進する。

 オーガニック成長としては、人材派遣サービスではコールセンター派遣におけるトップシェアの獲得、新たな派遣領域の発掘、障がい者雇用支援サービスでは農園サービスにおける圧倒的NO.1の確立、障がい者の個性に合わせた多様な働き方メニューの開発、ロジスティクスアウトソーシングではEC通販を軸とした事業拡大、日本発のゼロ・エミッションを実現した自社センターの開設、採用支援サービス「OMUSUBI」ではアルバイト・パート採用支援業務でのトップシェア獲得、採用から定着化までの総合的サービスの提供を推進する。

 新たな事業領域における成長機会の獲得としては、ベンチャー投資も活用して、CO2削減を中心とする環境ビジネス領域、企業の「持たざる経営」へのシフトを支援するBPOビジネス領域への展開を加速する方針だ。

■20年11月期大幅増収増益、21年11月期も増収増益・連続増配予想

 20年11月期の連結業績は、売上高が19年11月期比19.9%増の210億09百万円、営業利益が38.9%増の22億28百万円、経常利益が37.1%増の22億29百万円、純利益が46.0%増の15億80百万円だった。配当は1円30銭増配の3円30銭(期末一括)とした。

 計画超の大幅増収増益で過去最高を更新した。ポートフォリオ経営で新型コロナウイルスの影響を分散した。

 ビジネスソリューション事業は15.5%増収で6.9%増益だった。障がい者雇用支援(21%増収)は、新型コロナウイルスの影響で第3四半期まで計画を下回っていたが、第4四半期に急回復して過去最高の受注・販売を達成した。20年8月開園の屋内型農園(東京都板橋区)も全222区画の受注が完了した。EC通販発送代行(14%増収、配送費除く実質ベースでは30%増収)も巣ごもり消費拡大で伸長した。採用支援サービス「OMUSUBI」(29%増収)は、顧客数が10社増加の91社となった。飲食業が新型コロナウイルスの影響を受けたため下期に若干伸び悩んだが、ドラッグストアなど好調な業界を中心に来期に向けた大型受注が進展した。

 人材ソリューション事業は21.8%増収で48.5%増益だった。コールセンター派遣(28%増収)がスポット案件も寄与して計画以上に伸長した。販売支援業務は減収だが、第3四半期をボトムとして回復傾向となった。

 21年11月期連結業績予想は、売上高が20年11月期比18.0%増の248億円、営業利益が12.2%増の25億円、経常利益が11.6%増の24億88百万円、純利益が3.5%増の16億35百万円としている。配当予想は80銭増配の4円10銭(期末一括)である。連続増配となる。

 通期のセグメント別(調整前)の計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が27.2%増の74億08百万円(障がい者雇用支援27%増収、ロジスティクスアウトソーシング19%増収、採用支援「OMUSUBI」22%増収)で営業利益が15.7%増の18億73百万円、人材ソリューション事業の売上高が14.8%増の175億円(コールセンター業務13%増収、販売支援16%増収)で営業利益が9.8%増の19億30百万円としている。なお新規事業の環境経営支援サービスはクレジット仲介を中心に売上高2億35百万円の計画としている。

 21年11月期も主力事業が牽引して増収増益・連続増配予想としている。収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は急伸して20年1月の上場来高値に接近している。好業績を評価する形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月22日の終値は914円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円70銭で算出)は約44倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円10銭で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS56円43銭で算出)は約16倍、時価総額は約722億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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