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緊急事態宣言の発出警戒も下値では押し目買い/後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27344.87;-99.30TOPIX;1792.78;-11.90
[後場の投資戦略]
昨年の株式市場は波乱の1年となったが、後講釈にはなるが、いつも使う「株価=景気/金利」という式では分かりやすい相場だったとも言える。3月にかけてのコロナショックでは、景気が悪化するとの見方から分子が小さくなり株価が急落した。その後、世界の金融当局による大規模な金融緩和が長く続くとの見通しにより分母が小さくなり、一方、ワクチン開発・普及や金融財政政策の効果によって景気はいずれ上向くとの期待感から、足元の景気が悪化しても分子が小さくなることはなかった。この結果、分母が小さくなると同時に分子は小さくならないという、株価上昇の環境がほぼ完ぺきにそろうこととなった。しかし、今年はこの構図にやや変化が生じるかもしれない。
分子の景気については、昨年はコロナ後の景気回復への期待が先行したが、今年はワクチンの普及などによって実際にはどの程度景気が回復するかという「現実」を直視せざるを得ない環境へと次第に変化すると考える。昨年はさえない経済統計が発表されても、株式市場の反応はごく短期間のものだったが、今年はそうはいかなくなるかもしれない。
景気回復が期待ではなく現実のものとなり始めた段階で、分母にも変化が生じる可能性がある。昨年はFOMCを前にしても「どっちみち緩和は続く」との判断で良かった。が、今年はそうはいかなくなるだろう。景気回復の度合いによっては、金融緩和が予定より早期に終了する可能性も頭の片隅に置いておくべきだろう。識者による今年の相場見通しを見ると、その殆どが金融緩和が長期にわたることを前提にしていることも気掛かりだ。
このように、今年は、景気についても金融に関しても、昨年の「期待感」の年から「現実直視」の年となりそうだ。アンテナの感度を上げて「現実の荒波」を乗り切っていきたい。「現実の荒波」については、次の機会にさらに考えてみたい。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。新型コロナ感染拡大への警戒感が強く、今日以降の新規感染者数などの推移を見極めたいとするムードが強く、積極的な買いを入れにくい雰囲気が強い。一方、前場のTOPIXの下落率が0.66%となっており、後場は日銀によるETF買入れの思惑が働く可能性もあり、また、前場は押し目買いも見られ、下値も売りにくい。さらに、今週は5日に米ジョージア州の上院決選投票が行われ、また、8日の雇用統計を含め米国で重要な経済統計の発表が相次ぎ、これらを見極めたいとする向きも多く、次第に様子見気分が広がる可能性もありそうだ。(小山 眞一)《AK》
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