JFEシステムズは調整一巡、21年3月期は新型コロナ影響だが中期成長期待

2021年1月4日 08:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向けを主力として、一般顧客向け複合ソリューション事業も強化している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益予想だが、中期成長を期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが、その後はモミ合い展開で下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■JFEグループの情報システム会社

 JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。

 20年3月期の事業別売上高は鉄鋼210億円、一般顧客159億円、基盤サービス55億円、子会社(JFEコムサービス、IAFC)56億円だった。収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

 ダイバーシティを推進し、女性の活躍推進の取り組みが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」や、働き易い職場環境整備・意識啓発に取り組む企業を東京都が登録する「心のバリアフリーサポート企業」など、働き方・企業風土に関する各種認証を取得している。20年3月には健康経営優良法人2020大規模法人部門に3年連続で選定された。また20年7月には厚生労働大臣から子育てサポート企業として「プラチナくるみん」認定を受けた。

■ソリューション事業拡大も推進

 中期経営計画(19年3月期~21年3月期)の目標数値には、21年3月期売上高460億円以上、経常利益32億円以上、純利益20億円以上、配当性向(目安)30%を掲げている。経常利益と純利益は19年3月期に2期前倒しで目標を達成している。

 重点戦略は、高収益事業への構造転換で製鉄所システムリフレッシュ本格化に向けた体制確保、AIやIoTなど新技術を活用したソリューション事業の拡大、クラウドやセキュリティ関連など基盤サービス事業の拡大、基幹事業の強化で自動車向け体制充実や金融向け構造転換推進など製造・金融分野の顧客基盤強化、プロダクト事業(食品、電子帳票)強化によるニッチトップ確立としている。

 20年6月には、NTTデータイントラマート<3850>とコンサルティングパートナー契約を締結した。企業の電子帳簿保存法対応を強力に支援するため、電子帳票シェアNO.1の導入実績を誇る電子帳票保存ソリューション「DataDelivery」と、NTTデータイントラマートの「IM-Workflow」との連携を強化する。

 20年7月には、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援する「SIDEROS DXソリューション」の販売を開始した。

 20年9月には電子帳票パッケージFiBridgeシリーズが、富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」において、13年連続で国内製品シェア1位を獲得したと発表している。利用企業数は3700社を超えている。

 なお21年1月1日付で機構改革を実施した。製鉄所システムプロジェクトの倉敷地区での開発本格化に対応するため、組織変更で倉敷推進部を新設した。

■21年3月期は新型コロナ影響で減収減益予想だが、中期成長期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、10月28日公表)は、売上高が20年3月期比4.1%減の460億円、営業利益が21.5%減の37億70百万円、経常利益が20.9%減の38億円、純利益が24.6%減の24億円としている。配当予想は20円減配の100円(期末一括)である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比2.1%増の227億42百万円、営業利益が4.6%減の19億44百万円、経常利益が3.0%減の19億67百万円、純利益が4.2%減の12億55百万円だった。受注残の消化で増収だが、新型コロナウイルスの影響による案件構成悪化(小規模案件比率上昇)で生産性が低下し、利益率が悪化して減益だった。

 通期は、新型コロナウイルス影響による顧客のIT投資抑制で鉄鋼・一般顧客向けの受注・売上が減少し、案件構成悪化や賞与増加(前年の好業績連動)も影響して減収減益予想としている。事業別売上高の見通しは鉄鋼が12億円減少の198億円、一般顧客が15億円減少の144億円、基盤がJFEスチール・グループのリモートワーク環境整備特需で9億円増加の64億円、子会社が2億円減少の54億円としている。

 通常は下期偏重の収益構造だが、今期は下期(経常利益予想18.3億円)が上期(経常利益実績19.7憶円)との比較で減益となる見込みだ。なお新規案件の本格回復は鉄鋼・一般顧客とも22年3月期以降の見込みとしている。21年3月期は新型コロナウイルスの影響を受けるが、中期成長を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は戻り高値圏から反落したが、その後はモミ合い展開で下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。12月30日の終値は3340円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS305円63銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の100円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2288円72銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約262億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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