炊き立てご飯の香り成分の計測に成功 福井大ら

2020年10月27日 12:53

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 福井大学と福井県農業試験場が、これまで計測が難しかった炊き立てご飯の香り成分の計測に成功したと発表した。県のブランド米「いちほまれ」から、甘い風邪シロップのような香りを持つ「4ービニルフェノール」と、低濃度時にジャスミンのような香りがする「インドール」が検出された。両者は、ご飯の香りという観点から研究を進め、消費者の好みに合うご飯の提案に役立てるという。

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 ご飯の食味を鑑定する方法は大きく2つある。1つは、近赤外線分析器機で測定する水分とタンパク質、アミロース、脂肪酸のスコアを積算した”食味スコア”で、100点満点で評価する。

 もう1つは、人間の品評による評価の方法「食味官能試験」で、「外観」「香り」「味」「硬さ」「粘り」「総合評価」の評価を相対比較で行う。

 いずれもご飯の旨味を正確に測定する方法として広く取り入れられていたが、香りは複数の成分が混在し、正確な測定が難しかった。さらに、消費者が美味しいと感じるご飯の香りは、品種のみならず、保存期間か長期か短期かなどによって変化するため、旨味成分の検出をさらに困難にしていた。

 研究チームは、香りの成分が変化しやすいご飯の揮発性の高さを踏まえ、炊き立てのご飯の香りに焦点を絞り、成分を定量化することにした。香りの検出には、成分を熱気化した後、カラムオーブンのなかで成分を分離し、検出した成分の濃度を電気信号として出力するガスクロマトグラフィーを用いた。

 実験では、炊き立てのご飯の上に、揮発性の高い物質を吸着する棒状の樹脂を5分間かざし、香り成分を集めた。その後、成分をイオン化し、イオンを質量分析法で計測した結果、4ービニルフェノールとインドールが検出できたという。

 ただ、インドールは炊飯器で保温すると、時間が経過するごとに減少するほか、収穫から半年~1年間の時間が経っても減少することがわかった。

 人間は味覚の大半を嗅覚に頼っているとされ、今回の研究は、発展途上にあるご飯の食品科学の推進につながりそうだ。具体的には、炊飯家電メーカーが、香りの定量化を生かした炊飯ジャーの開発につなげたり、農家がより良い米の品種改良を図ったりすることが考えられる。

 研究グループは、いちほまれ以外のご飯の香りについても調べているといい、「今後研究が進めば、消費者が米を選ぶ際の選択肢が広がる」と述べている。(記事:小村海・記事一覧を見る

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