HIS、上場来初の赤字へ 20年11月期は318億円の最終赤字予測

2020年9月29日 12:08

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■売上高は30%減、純損益は169億円の赤字
 大手旅行代理店のエイチ・アイ・エス(HIS)(9603)は25日、20年11月期第3四半期累計(19年11月~20年7月)の連結決算を発表した。新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受け、売上高は前年同期比30.1%減の4010億1600万円と落ち込んだ。営業損益は167億9300万円の赤字、純損益は169億3900万円の赤字となった。

 併せて非開示だった通期の業績予想を発表。売上高は前期比47.6%減の4240億円、営業損益は367億円の赤字、純損益は318億円の赤字と、上場来初の赤字着地を予想した。コロナ禍によって国内外の旅行が制限され、海外旅行を中心に事業拡大を図ってきた同社にとっては、死活問題になり得る環境に晒されてしまった格好だ。

■旅行事業が深刻、エネルギー事業では光も
 HISのセグメント業績を見てみると、主力の旅行事業が前年同期比で32.5%減と急ブレーキがかかり、全体利益の7割以上を稼いでいたセグメント損益は120億円の赤字に転落。海外旅行の垣根が大幅に下がった今日においては、気軽に海外旅行に出かける日本人も多く、HISはその旅行需要に十分応えてきた功績者であると言えよう。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、海外渡航自粛や緊急事態宣言によって旅行者の足が止まってしまい、旅行のキャンセルや旅行需要の劇的な低下などHISにとっては大きな痛手を被ってしまった。同様にハウステンボス事業やホテル事業、九州産交グループ事業でも赤字を計上するなど、旅行関連については重大な経営危機に直面している。

 一方で、売上高が全体の5%程度のエネルギー事業は黒字を確保。電力小売りを手掛けるエネルギー事業では、経済活動の停滞により電力使用量の低下や営業活動の停滞もあり、セグメント利益では前年同期比で61.8%減の1億8900万円の着地だったものの、顧客数を着実に伸ばした結果、売上高は35.9%増と一矢報いた模様。

■GoToトラベルによる恩恵は来期以降か
 足元では政府主導のGoToトラベルキャンペーンにより、国内旅行への需要喚起が叫ばれている状況だ。HISもその恩恵を受けているものの、前年を上回る予約実績は10月分に限られており、今期の業績には大きな影響は与えない模様。来期以降に関しては、感染者拡大が防止できれば改善が見込めると言えよう。

 だがHISが借入しているシンジケートローン345億円分に関しては、財務制限条項(コベナンツ)に該当する可能性があり、その場合は金融機関との調整が必要となるだろう。いずれにせよHISによる固有の問題ではないものの、今後の感染者拡大が止まる気配がなければ、存続も危ぶまれる環境であることは間違いない。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

関連キーワードエイチ・アイ・エスハウステンボス新型コロナウイルス

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