こんにゃく粉入り粥が血糖値の上昇抑える 糖尿病予防に 群馬大の研究

2020年7月24日 07:36

小

中

大

印刷

測定の方法(画像: 群馬大学の発表資料より)

測定の方法(画像: 群馬大学の発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

  • 食後30分のみ血糖値とインスリンの上昇が抑えられた(画像: 群馬大学の発表資料より)

 糖尿病予備軍とは、正常と糖尿病の間の状態のことだ。「糖尿病でなくて良かった」とほっとしている場合ではない。高い確率で近い将来に糖尿病になってしまう状態だ。群馬大学の葭田明弘助教、木村孝穂准教授、村上正巳教授らは、こんにゃく粉入りの粥にインスリンと血糖値の上昇を抑える効果があることを明らかにした。食事によって糖尿病予備軍から糖尿病への進行を予防していけることが期待できる。

【こちらも】ワカメを食べると血糖値などの上昇を抑制 理研ビタミンが確認

 この研究結果は13日のAnnals of Nutrition and Metabolismに掲載された。

 健康な人では、食後に一時的に血糖値が上がるが、膵臓から分泌されるインスリンの働きによりすぐに下がるようになっている。しかし糖尿病になるとインスリンがうまく働かなくなってしまうため、血糖値がずっと高いままになってしまう。

 血糖値が高いままだと何故いけないのだろうか。糖の濃度が高い血液は血管壁を傷つけてしまうのだ。傷んだ血管は自分自身で修復することができるが、それを繰り返すうちに、血管は硬くなってきてしまう。これが動脈硬化という状態だ。

 血管の障害はまず眼底や手足の先などの細い血管に症状を表していく。そのため視力障害や手足の感覚障害などが起こりやすい。それと同時に心臓や脳などの太い血管も傷んでいく。最終的には脳卒中や心筋梗塞などの大きな病気につながる。これらを防ぐために、薬やインスリンの注射で血糖値をコントロールすることが大切なのである。

 糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病がある。生活習慣が発症に大きく関わっているのが2型糖尿病だ。遺伝的な要因に加えて運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が加わることで発症すると言われている。2型糖尿病では膵臓からのインスリンの出が悪くなったり、インスリンの効きが悪くなったりしたため、血糖値がうまくコントロールできていない状態だ。

 この2型糖尿病になる1歩手前の状態が「糖尿病予備軍」だ。今後高い確率で糖尿病へと進行していってしまうためその進行を抑えることが大切であろう。

 今回の研究では、25人の健康な男性に糖尿病の検査を行い、8人が正常値で17人が糖尿病予備軍だった。この25人に、3種類の粥(五分粥、0.4%こんにゃく粉入り粥、0.8%こんにゃく粉入り粥でいずれも約80kcal)を食べてもらい、食前と食後30 分、60 分、120 分の時点で血糖値とインスリンを 測定した。

 するとこんにゃく粉0.8%の五分粥では、食後30分のインスリンと血糖値の上昇が抑えられた。この傾向は健常者より糖尿病予備軍の人で強くみられた。またこんにゃく粉の濃度が高い方が上昇を強く抑えることができた。

 研究グループは、こんにゃく粉が食事の粘り気を強くしたことで、胃に長く留まることになり、腸へゆっくり移動していったため糖の急激な吸収を抑えたと考えている。

 食後の急な血糖値やインスリン上昇は糖尿病を悪化させる。こんにゃく粉入り五分粥は糖尿病の進行を抑えることができると期待できる。これからは病気になってから治療するのではなく、予防していくことが主流になっていくだろう。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

関連キーワード糖尿病群馬大学

関連記事