不動産投資における本当の利回りと計算方法 後編

2020年7月12日 16:52

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 残念ながら、空室リスクを配慮したNOI利回りですら完全ではない。マンションの劣化と共に管理費や修繕費が高騰する可能性や、築年数の経過と共に家賃を下げる必要性なども考えられるため、手元に残る利回りはさらに削られていく。広告に大きく記載された「現時点の表面利回り」だけを見て不動産投資に飛びつくことが、いかに危険かお分かりいただけただろう。

【前回は】不動産投資における本当の利回りと計算方法 前編

 それでは、どの程度の利回りがあれば不動産投資が安全に運用できるのだろうか。日本不動産研究所が示す「不動産投資家調査」のアンケート内容を取り上げてみると、例えば、不動産として需要が高い都心部のマンションの場合、表面利回りで6~8%以上、実質利回りで最低3%以上であることが投資の基準と判断されているようだ。

 ちなみに、都心部のマンションの平均的な表面利回りについてであるが、新築マンションで3%後半~4%前半程度、築20年ぐらいまでの中古マンションで4%~5%半ば、築20年以上になると7~10%程度となっている。

 中古マンションの利回りが高いのは、単純に購入価格が低いという理由であるが、その分空室となるリスクや、管理費や修繕費が高額になるというデメリットを内包していることを忘れてはならない。表面利回りでいえば、新築マンションよりも中古マンションのほうがはるかに高く算出されることも、不動産投資で注意すべき点だ。

 なお、節税対策として不動産投資を検討する人もいるが、運用の黒字化を目指さずに、節税や相続を主たる目的とすることも危険が伴う。減価償却費の計上や損益通算による節税効果があるのは確かだが、そもそも損益通算で所得税が節税できるということは、投資不動産の運用が赤字であるという前提があり、場合によっては節税効果以上の赤字となる可能性もあるのだ。

 これは、相続税対策として不動産投資を行う場合も同じで、毎年の収支が相続税の節税額以上の赤字になれば意味をなさないばかりか、万が一購入した不動産が値崩れした場合、現金を残しておいたほうがはるかに相続できる資産が多かったという結果にもなりかねない。

 このように、不動産投資は株式や債権などの単純な金融商品への投資運用とは異なり、購入した不動産をどのように運用していくかによって利回りが大きく変動するため、投資運用としては難易度の高い部類であることを十分に留意した上で、検討されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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