新型コロナ、空気感染の危険性ありか 豪大学の研究

2020年7月8日 13:32

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室内で新型コロナウイルスを含んだ飛沫核が移動する様子(上)と換気によって飛沫核の拡散が防げる様子(下)(画像:クイーンズランド工科大学の発表資料より)

室内で新型コロナウイルスを含んだ飛沫核が移動する様子(上)と換気によって飛沫核の拡散が防げる様子(下)(画像:クイーンズランド工科大学の発表資料より)[写真拡大]

 厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染を防ぐために、密閉空間・密集場所・密接場面の3密を避けることを推奨している。新型コロナウイルス感染症の感染経路として懸念されているのが、飛沫感染と接触感染だ。豪クイーンズランド工科大学は6日、新型コロナウイルス感染症が空気感染する恐れがあるという研究を発表した。

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■数十メートル移動可能なウイルス

 新型コロナウイルスの感染者は、咳や会話を通じて、ウイルスを含んだ飛沫を空気中に吐き出す。だが直径5マイクロメートル以上の飛沫は重いために、すぐに地面へと落下する。そのため、サージカルマスクの着用や1~2メートル間隔を空けるソーシャルディスタンス戦略など、飛沫感染を防ぐ対策が新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために採用されてきた。

 今回、32カ国239名の専門家によって、新型コロナウイルス感染症が空気感染する恐れがあることから、空気感染を考慮した新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策をすべきとする懇願が、論文誌上に掲載された。研究者の専門は、ウイルス学や疫学、建築学や、流体力学など多岐にわたるという。

■換気により空気感染が劇的に防げる

 空気感染は、飛沫よりも小さい飛沫核を通じた人から人への感染だ。飛沫核は5マイクロメートル未満と軽いため、数十メートルも空気中を移動するという。レストラン内で席を離した3組のグループをカメラ撮影したデータをもとに、新型コロナウイルスが空気感染する様子をモデル化する最新研究もある。

 だが、ソーシャルディスタンス戦略で想定されている、1~2メートルの間隔を遥かに超えるウイルス感染の可能性が懸念される。研究チームによると、職場や学校、病院や介護施設などで、窓や扉を開けたり、紫外線による殺菌等が空気感染予防対策として必要だとしている。これらの対策だけで、ウイルスの拡散が大幅に軽減できるという。

 また研究では、満員電車を避けることも推奨している。

 研究の詳細は国際医学誌Clinical Infectious Diseasesに6日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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