日銀、金融政策決定会合の「主な意見」発表 金融緩和の効果は

2020年6月25日 17:42

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 日本銀行(日銀)は24日、金融政策決定会合の発言内容をまとめた「主な意見」を発表した。その中には、経済活動が再開しても新型コロナウイルスの影響で、景気の回復は緩慢になるとの意見があった。

 会合では、金融緩和政策を維持していく方針が決まった。だがこれまでの金融緩和策は、大きな効果があったとは言い難いのが現状だ。今回の会合の趣旨と、日銀のこれまでの緩和政策について解説する。

■金融政策決定会合の趣旨

 日銀による金融政策決定会合は、6月15~16日に行われた。今後の経済対策方針としては、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとした金融緩和を維持する。企業の資金繰りを支援し、金融市場の安定を目指すことが目的だ。具体的には、110兆円規模の資金繰り支援で、銀行に融資を促す。

■景気の見通し

 景気の見通しは、決して明るくない。新型コロナウイルスに有効なワクチンや治療薬が開発されない限り、負の影響の長期化が予想される。会合に出席した委員の中には、景気の回復ペースは緩慢になるとの意見もあった。

■これまでの金融緩和策

 日銀は2016年1月、マイナス金利導入による量的・質的金融緩和を開始した。物価上昇率2%を目指して取り組み始めた政策だ。民間の金融機関から日銀に預けるお金に手数料をかけることで、各金融機関の手元にお金を残し、融資で市中にお金を還元させることが狙いだった。

■成果が出たとは言い難い「マイナス金利政策」

 だが現状では、マイナス金利政策は、あまり効果が出たと言い難い。大きな要因は、各金融機関が手元に残ったお金を融資に回さなかったからだ。では、その代わりに何をしたか?

 各金融機関は、国債を買っていたのだ。なぜなら金融機関が買うよりも高い価格で、日銀が国債を買っていたからだ。普通なら、国債にもマイナス金利が適用され、金融機関は国債を買うと金利分、損をする。

 だが日銀は国債を購入することで、ここでも市中に出回るお金を増やしたかった。各金融機関としては、国債を買えば儲かるため融資せずに国債を買う。そのため、マイナス金利政策により意図された効果は、達成されづらくなったのだ。

 今回の政策の効果にも注視したい。(記事:たけお・記事一覧を見る

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